ある日の夕方。「ラーメン食べたいなぁ」という1人の声がけで、何名かであるお店にふらっと入った。中国人のシェフと店員の二人でやっている小さな店内は、本場さながらの雰囲気と、入った瞬間辛くなりそうな唐辛子の匂い。冷たい飲み物を飲みながら、辛い四川風の料理をつまみはじめた。
ふらっと入ったお店にしては美味しいね。そう言って半ば満足しながら、熱いしょうろんぽうをほうばる。食べ終わったあと、一人が残った蒸籠を凝視している。
「なに見てるの?」
「え。。。これって、もしかして。。。」
なかには、黒い虫(注:小指の爪サイズ)が二匹、寝転がっていた。一匹は、うつぶせ。一匹は、お腹を上に向けて。
「これ、僕が熱くてしょうろんぽうを二つに割ったから出てきたのかなぁ・・・」
「ということは、さっき一気にほうばった俺は・・・」
「でも、これだけアツかったら消毒されてるよね。苦笑」
「すいませーん。これ・・・」
店員はやってくると、特に表情を変えることなく、すぐに厨房に持って行った。
謝ってくれるのか。そう思っていると、急にシェフがあくせく動き出した。ちょっと口直しをしたいので、皆で冷たい麦茶をお代わりする。奥からは、じゅーじゅーと料理をする音が。
「まさか、何も言わずに焼きそばとかでごまかそうとしてないよね・・・」
すると、数分後に店員が、悪びれることなく、一皿の料理を運んできた。
「お待たせしましたー。サービスのチャーハンでーす(←頼んでない)」
電光石火でお詫びのチャーハンを運んでくるそのスピード感?に、我々は圧倒されていた。
「こちらは、虫が入ってないからダイジョブです」
「・・・」
ブラックジョークに、さらに戸惑う我々。
無言で食べて、お勘定をして出ようとすると、またサプライズが。どうみても自家製で無料っぽかった麦茶が、一杯あたり生ビールと同じ値段を取られていた。払い終わった僕の手には、お店のチラシが。
「お昼もやってますので、よかったらどーぞー!」
最後まで元気いっぱいに語る店員に、びっくりしてお店を出ました。ここまでやられると、すごいと逆に関心してしまうなぁ。危機管理対応は、平時からよく考えておかなければならないものだ。そんなことを考えさせられた、ある日の出来事でした。
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