アメックスが不良資産救済プログラム(TARP)に基づく公的資金注入を申請するために、銀行持ち株会社への転換を米連邦準備制度理事会(FRB)から承認された、とのニュースが出たのが先週。今週は、米国の生命保険会社が同様の資金調達を実現すべく、中小の銀行を買収した、とのニュースが報じられた。
ハートフォードは約3,000億円を投じて地域銀行を傘下におさめ、それに基づき公的資金注入を申請するとのこと。他にも蘭エーゴンの米オペレーションであるトランズアメリカも7,000億円近くを出資して銀行を買収し、同様の措置を申請するとのこと。
資金へのアクセスを確保するためにあらゆる措置を取ることは経営判断としては正しいが、このように誰も彼もが銀行を傘下に収めることでこのプログラムへの参加が可能になるとすると、最初から適用範囲を銀行に限らず、もう少し広く、金融システム全般の安定化を図るために必要な先への資金注入を可能にしておけばよかったのに・・・とも思ったりして。銀行になることで、当局の監督規制がより強く及ぶ、ということが趣旨なのでしょうが、それを言うならば生保への規制ももともと強いのでは。
今回の措置について、米国の金融システムに関する背景なども含めて、どなたか教えてください~。
確かに、アメックスもGSも銀行かよ、とは思いますね。
でもクレジットカード会社ってそもそも銀行じゃない必要性ってどこにあるんだろ、と考えると結局規制を受けずにすむことくらいで、アメックスが銀行業になるのは割と自然な気もします。
生保もまあ銀行みたいなものだし、ご指摘の通りもともと規制もあるしね。
信用創造を司る機関は公的救済を受ける代わりに、報酬制限やレバレッジの制限などの規制に服すというのが倫理的にはわかりやすい。
けどレバレッジは損失を計上すると上昇してしまうし、そこを時価会計で厳格にっ評価すると結局信用収縮を生むという罠。
実に難しい。何かいい知恵はないんですかね~?
投稿情報: たに かず | 2008年11 月20日 (木) 01:30
こんにちは。いつも楽しくブログを拝見させていただき、また応援をさせていただいております。
さて、いろいろなご意見がある問題かと思いますが、私のわかる範囲で簡単に今回の措置に関しての考えを述べたいと思います。金融システムまで述べていくと大論文になると思います。。。
最初に議会を通過したTARPでは金融機関の対象範囲はかなりあいまいにしており、その文章だけを見ると別に保険会社であろうがカード会社であろうが問題はなく資金を注入できるようなものでした。
しかし、その後実際に資産買い取りプログラムを実行するにあたっての適用範囲を銀行、貯蓄金融機関、そしてそれぞれの持株会社に限定すると財務省が決めました。また、注入する段階においての個別企業の判断は財務省が独断できるとも明言されております。範囲をこれらの対象に絞った理由にはいろいろ考えられるでしょうが、①範囲を広げすぎると資金が足りなくなる、②そもそも銀行への資本注入として成立した法案であり、いきなりその対象範囲を広げると反発が起こる可能性がある、ことなどが考えられるのではないでしょうか。オリジナルの法案を通すのでも議会の反発を受けていましたからねー
そういった事情があるため、買い取りプログラムの対象金融機関に該当しない企業はどこかの銀行を買収して持株会社化しているのかと考えます。
余談ですが(ご存知かもしれませんが)、ハートフォードなどが買収した企業は正式には銀行ではなく、貯蓄金融機関になります。貯蓄金融機関を買収対象にした理由には、①買収するのに魅力的な銀行が今はない、②銀行と比較して小規模であるため簡単に買収ができる、③貯蓄金融機関の経営状況も厳しく監督当局であるOTCも経営を安定化させるために買収してくれる企業を探していた、といったことが考えられるのではないかと考えます。
また、銀行になることで当局の規制が強く及ぶことはもちろん考えられますが、生保の業務に関してはこれまでと変わらず州の規制当局が監督を行うため、業務への影響はかなり限定的じゃないかなと思っています。
今回の一連の動きが急加速している理由には買い取りプログラムへの申請期日が11月14日であったため駆け込み的に申請を行うために業態を変えて申し込んでいることが多いと思います。また、買い取りプログラムを申請した企業の一番の目的は資本調達につきると思います。市場からの調達が困難になった今、このプログラムに申し込まないとこの不安定な相場環境では今後の経営に支障がでることが考えられます。他にも、ここで銀行持株会社等へ変更しておくことで将来的にFDICやFRBに守ってもらえることも考慮されていのではないでしょうか。
わかりにくい説明ですが、こんな感じの背景があって今のような状況になっていると思います。
投稿情報: 米国在住 | 2008年11 月20日 (木) 00:31