医療政策に関するユニークなシンクタンクである日本医療政策機構が主催する、英国医療制度改革に関する勉強会に参加してきた。
冒頭でイントロダクションを担当したのが、我が盟友、小野崎耕平氏。医療制度の国際比較を示したシンプルなチャートは、一番右側にほぼ完全に民営化されている米国(国民皆保険制度がなく、民間医療保険が主)、対極にあるのがかの有名なNHSのもと、医療費が100%税金で賄われており自己負担はほぼゼロである英国。我が国の税金+国民/企業負担の社会保険料で賄われる社会保険制度はその中間に位置する。こうやって比較してみると、わかりやすい。
ブレア政権が進めた医療制度改革は、医療費負担を約9兆円から20兆円にまで引きあげて、同時に規律ある運営と医療の質の向上に努めて猛烈なスピードで進められてきた。話を聞いていると、「政治のリーダーシップさえあれば、本当に制度改革って可能なんだ」と、どこかで政治に改革なんてできないと思い込んでいる自分がいることに気がつくが、他方で、実態を知る人によると、計画はよかったが実行段階では結局その50点くらいになってしまっており、賛否両論であるとのこと。
いずれにせよ、わが国の場合は公的医療保障と民間医療保障は補完的な関係にあり、お互いを無視しえない。国民医療費の増加を防ぎたい政策担当者の立場からは、どのような戦略的役割を民間医療保険会社に期待するかという視点が必要だろうし、そこでは厚生労働省と金融庁のコラボレーションも必要となる。金融と医療、社会保障制度が交差するところが、保険の面白いところだと再確認。
なお、後期高齢者医療制度について自分なりにまとめようと考えていたが、小野崎氏のこの論考(伊勢新聞に掲載)が秀逸。そう、そう!と手を打ってしまった。ご一読ください。
お忙しい中、勉強会にご参加いただき有り難うございました。今回は触れられませんでしたが、実際は民間医療保険・民間医療機関・ファンナンスが活躍し原動力のひとつとなっていたのが英国の医療改革です。またいつかそのお話をさせていただけたらと思います。そのときは今回小野崎さんに学んだ、シンプルなわかりやすいチャートを使いこなせるようになっておきます…。
投稿情報: tarogo | 2008年8 月22日 (金) 01:09
初めて投稿します。貴殿の本を拝読して以来、このblogも拝読しています。
この内容には貴殿が政治に一線置いているような印象を受けて、初めて投稿します。
映画「LIONS for LAMBS」はご覧にになられましたか。
貴殿の言動には日に日に影響力が増しています。
このblogにはアクション、と思ってMailしました。
投稿情報: japan401k | 2008年8 月21日 (木) 19:26