M&Aをやっていた前職では、企業を買収するタイミングで、損保の全面見直しをすることがよくあった。主な対象が製造業だったので、いかに保険料を抑えつつ、工場に起こりうる損害に保険で備えるかは、重要な命題だった。
ポイントはただひとつ。いかにコスト効率がいい加入の仕方をするか。その時に外資系保険ブローカーに勧められた「賢い保険の入り方」は、以下の通り:
・ まず、「最初の1億円まで」は保険に加入せず、自己資本で備える。小さな被害は頻繁に起こるが、これに保険で備えるのは効率が悪い。自社のキャッシュであれば、用途は制約されない(損保の被害以外にも、融通できる)。免責(自己負担)部分を大きくすることで、保険料を下げることができる。
・ 次に、「1億円から10億円」の間は、グループ企業で合同して保険引き受けスキームを作って、そこで保険料を拠出して被害に備えることとする。いわゆるキャプティブ保険。これによって、保険会社が抜いている運用費用を抑えたり、実際に被害が出なかった場合の利益(危険差益)をグループ内で留保することができる。
・ 更に、「10億円~100億円の被害」については、損害保険会社に委託する。この大きな損害は自力では回避できないが、他方で発生確率もかなり低いので、保険料を抑えることができる。
個人の生命保険加入についても、基本は同じでないか。本当に必要な保障は何か、リスクをある程度細かく刻んでいって、貯金、公的保障、企業の補助、家族・親族などのサポートなどを総合的に理解した上で、保険会社に頼らなければならないものを、保険料を抑えて加入するのが正しいように思う。
なーるほど。メチャおもしろーい。
> 個人の生命保険加入についても、基本は同じでないか。
再保険って、損保の人にとっては常識なんだろうけど、個人が生保にはいるときに類比させたことはなかったな。
深掘りできそうな予感。
生保の買い方に絡めて続編希望です!!
投稿情報: Agent X | 2008年3 月13日 (木) 12:03
こんにちは。
私の経験では、「医療保険」の場合、お客様に「正直、貯金した方がいいと思います。」 と言っても、「でも・・やっぱり何かあったら・・」と、加入されることが少なくありません。
データを取ったわけではありません。が、「止めても入ってもらえる保険」 と印象を、私は持っています。
投稿情報: 後田亨 | 2008年3 月13日 (木) 11:58
日本語が変になっちゃいましたが、酔っ払いなので汲み取っていただければ幸いです。
かもしれません・・・連呼^^;
投稿情報: 通りすがりの外資生保 | 2008年3 月12日 (水) 02:53
まさにそうだと思います。
損保のアプローチを生保に取り入れる発想はあったようでなかった(三遊間エラー的な)斬新さをちょっぴり感じます。
さすがですね。
ただ、
>たとえば、毎月3000円払って(=年間3万6千円)、5分の1の確率で10万円もらえるものよりも、毎月300円払って、500分の1の確率で100万円もらえる保険の方が、多くの人にとっては「保険」が果たす機能としてはバランスがよいのでは?
に関してはどうでしょう?
「多くの人に」なのでいいとは思いますが10万円が致命的(生活上代替手段がない)人にとっては、毎月3000円の分散ヘッジもありかもしれません。
これが医療保険であり、ア○コであり、共済の正体かもしれません。
岩瀬さんの自論の流れの通り、保険の究極の姿は一定条件化の圧倒的なレバレッジ機能と考える私個人的にはどうかと思いますが、残念ながらマーケットはそこまでロジカルではなく、身近な不安にコストを投下するのかもしれません。。。
投稿情報: 通りすがりの外資生保 | 2008年3 月12日 (水) 02:48