ヘッジファンドに勤める日本人の友人らと話をしていると、彼らが苦戦していることと、海外投資家がいかに日本への投資に興味を失っているかを現場感を持って聞くことができ、さみしくなる。
一人はニューヨークに拠点を置きつつ日本株を見ていたのだが、年明けから日本以外のアジアの株を見るように言われ、中国やインドの案件を見はじめた。
もう一人は香港と東京を行ったりきたりしながら日本のマーケットの責任者をやっているが、マクロに見て明るい材料が何一つない、と呟いていた。
今日会った一人はシンガポールから日本株を見ているが、ファンドに運用を委託している海外の機関投資家が、どんどん日本株のウェイトを下げていると言っていた。なかには、「日本の市場の信頼性は、一部の途上国並だ」とまで言う投資家までいる、と嘆いていた。
最後に会った一人だけがガイジンなのだが、ニューヨークからアジア全域の投資機会を伺っているが、今回日本の企業を訪問して、いかに優れた企業がたくさんあるかを喜んでおり、これから訪問する機会を増やしたい、と話してくれた。
一番最後の友人が働くファンドはファンダメンタルズを非常に重視し、投資期間も十分に長期で捉えているところなので、日本株を割安と見ることができているのかもしれない。
日本の底力は計り知れない!と思いつつも、変革ができない構造が政治・社会・経済に幅広く埋め込まれている。この慣性を打ち破ることができるのか、日本の将来を考えると、不安に思えることは少なくないが、自分としては日本の未来は明るい!と唱え続けたいと思う。安易な楽観主義は、変革を産まないという意見もあるだろうけれど、やはり「空気」や自信こそが大事ですから。
1.日経新聞が、連日のように、連載コラムで「嘆きのブルース」をしていますが、百害あって一利なしでしょう。
2.日本企業では世界一を目指すExcellent Companyや企業リーダーを輩出しています。たとえば、ハイテク部品の日本電産や信越化学など。一方、戦略思考ができない例では、IT御三家FNHがあります。
投稿情報: snowbees | 2008年1 月19日 (土) 17:27
初めて書き込みさせて頂きます。
貴『ハーバードMBA留学記』を拝読して感銘を受けました。
この貴ブログもいつも楽しみに拝読、勉強させて頂いております。
CNOOCの社長のインタビューのことについて言及されてましたが、今の日本の上場企業経営陣のどれくらいの方々がこの社長ほどCAPITAL COSTについて意識しているか甚だ不安を感じます。株主資本コストの存在すらご存知ない方々が大半なのではないでしょうか。
先日、アメリカのITW社のAnnual Reportを読み、日本の同業と(思われる)企業と比較して、その投下資本利益率、フリーキャッシュフローを定期的に生む能力の高さには驚きました。個人的にはITWの製品は「コモディティ」だと思いますので。
Valuetion、投資スタイルは人それぞれでしょうから一概には言えませんが、ただ、投資家の金利をタダと思う経営陣の経営する企業からは投資資金を引き揚げられても文句は言えないですよね。今の日本売りの状況、真摯に受け止めたいと思います。
長々と済みません。
投稿情報: la chino | 2008年1 月19日 (土) 13:04
はじめまして。問題意識を強く共有します。(私の場合、「楽観主義」ではなく、悲観的なシナリオの下、それを回避すべく最善の努力をする「行動する悲観主義」ですが。)
まさに、「この慣性を打ち破りたい」という思いから、まずは、勤めている役所(岩瀬さんの知人・友人も同僚に多いようです)を辞めて新たな世界に飛び込むことにしました。
我々の世代がこういう思いを持ち続ければ、新たな国の形を作っていけるのでないか、と前のめりになったのでコメントしてみました。
投稿情報: DT | 2008年1 月19日 (土) 12:44
1.バリュートラップ懸念:割安だけど割高に切り替わるきっかけが見えないから割安に放置される可能性が高く買えない
2.政治の不透明感:改革進捗の問題ではなく、民主党の参院支配で単純に何も意思決定がされない政府になってしまった
3.円高・原燃料高:じわじわ企業業績に効いてくる
あたりが良く聞く理由ですね。
投稿情報: yasuto | 2008年1 月19日 (土) 01:52
僕も去年に日本株はほとんど売ってしまいました。
今年も日本株というか日本経済には超ネガティヴです。
でもそれって「構造」の「改革」とやらが進まないこととは何の関係もありません。
クルーグマンも言ってたけど「構造」の「改革」って好況、不況問わずやったほうがいいけど、いったいいつまでやればいいの?政治不在ってグーグルを政府の何とか諮問会議が作れたのかって話です。
コンプライアンス云々はサブプライムCDOをばらまいたりAAAをつけた連中が何を言うかですよね。
あとBRICSが日本よりコンプライアンスがしっかりしていると思ってる人がいたらお花畑です。
むしろ日本に関しては建築基準法やら貸金業法やら規制強化が景気の足を引っ張っているんではないでしょうか??
厳しい言い方ですが、日本の不況の原因は岩瀬みたいに社会的影響力のあるトップエリートでさえそろいもそろって「財政再建=改革」と洗脳されているからでは?
(前に日銀の利上げ賛成してたよね?)
今日アメリカは1500億ドル財政出動するそうですが、誰も「改革後退」なんていわないでしょ?
デフレ下でちょっと景気がよくなる端から歳出削減と増税をやっていて本当に景気が良くなると思う?
で税収が下がってまた増税と歳出削減で国が滅ぶまで「構造」の「改革」が続けられる、と。
政治に関しては財政再建路線が放棄される可能性がある、という一点で現状や民主党政権のほうがプラスかもよ?
あと岩瀬みたいなポジションの人とかエコノミストたちが「いますぐ減税して社会保障費を増額せよ!」と言い出したら大慌てで日本株を買い戻しますw
投稿情報: たに かず | 2008年1 月18日 (金) 23:44
13日、あるTV番組で日本の株価低迷の原因の1つに福田政権の誕生をあげておられましたね。
安部前首相の改革は海外では高く評価されていたようで、政権交代がイコール改革の中断と言うイメージにつながったのではないかということでした。
機関投資家が魅力を感じる日本を創り上げていかないといけないですね。
投稿情報: アクサ@生命 | 2008年1 月18日 (金) 15:45
4月からいよいよ社会人として働く私にとって、こうした話を聞くのはとても残念です。たしかに、日本の将来を楽観視するというのは専門家にとっては難しいことなのかもしれません。
でも、私のような無知な人間は、そういった専門家の意見をただ鵜呑みにするのではなく、「根拠なき自信」で、日本の未来は明るいと信じて頑張っていきたいと思います!
投稿情報: naoya | 2008年1 月18日 (金) 12:51
最近の日本を国外から見ていると7・80年代のフランス、イギリス、アメリカの低迷を思い出します。当時、各国の知人達はこれからはもう君達日本の時代で我々の国は衰退していくだけだと嘆いていました。
我々日本人は悲観する必要は全くなく、御社のように新しいことに挑戦する企業や個人が増えることが一番重要だと考えます。そこに必要なのは未来を信じる楽観的な視点に他なりません。
中国もマクロ的に見ると輝かしい未来ですが、国内を見渡すと暗澹たる現実やお粗末な内情が山積みとなっております。
投稿情報: From Beijing | 2008年1 月18日 (金) 11:10
私が耳にした、ファンド勤務の友人達から聞こえてきた「日本を売らざるをえない理由」の共通項:
1.【教育水準の明らかな低下】
天然資源を欠いた日本の唯一の資源は「人」であるが、数値化可能な「学力」一点をとってみても、OECDのPISAの結果に明らかなように、今や日本の学力水準は世界10位以内に位置することさえ困難になるほど学力が明確に低下している。
2.【低いコンプライアンス意識】
日本は長らくムラ社会的な馴れ合いの中、「多少の違法行為くらい当たり前」という意識で経営を行ってきたが、投資家としては「いつコンプライアンスリスクが浮上するかわからない」日本企業に投資するのは難しい。経営者の意識改革が必要。
3.【信頼しきれない会計制度】
コンプライアンスの問題同様、近年改善が見られるものの、海外の投資家が安心して見ていられるようになるには、なお時間が必要。
4.【停滞する政治】
6年間もの間、政治が停滞する可能性もないとは言えない。重要な意思決定が滞ることは、成熟局面に入り、場合によっては衰退局面に差しかかりかねない日本にとっては大きな打撃。
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非常に辛い事実ではありますが、今や「先進国の落ちこぼれ」になったことを認め、もう一度ゼロからやり直す位の気持ちを我々一人が持たないことには「衰退への道」は止められないのかもしれません。
投稿情報: 崖っぷち | 2008年1 月18日 (金) 03:13