外資系生保の中枢にいらっしゃる方とディスカッションをしていたら、「これからの3~5年間で、業界が大きく変わる可能性が高い」と話されていた。
その理由は明快で、
① 銀行窓販の解禁
② 簡保の民営化
③ ネット生保の登場
④ 消費者の購買行動の変化
の4つ、とのこと。
窓半解禁は、予定通り12月に実行されれば、銀行窓口で生命保険商品が買えるようになる。お客さまの立場からすれば、親しみのある場所で、複数商品の比較を聞いたうえで選べるのは望ましいことだ。
簡保の民営化も、しかり。郵便局が民営企業と競いながら、より充実した商品・サービスを提供するようになる。人によっては、郵便局は銀行と同じようになじみがあるチャネルであり、利便性の高いチャネルであることは間違いない。
ネット生保についても、お客さまが買いたいときに、自分のペースで欲しい情報を入手して、納得した上で加入することができるので、新しい利便性の高いチャネルとなる可能性がある。
最後に、グーグルに代表される情報革命により、消費者がものを買うときの詳しい商品情報入手、複数商品の比較、レビュー評価などを取得するようになっている。売り手と買い手の情報の非対称性が、どんどん崩れている。
以上の理由から、戦後続いてきた生命保険業の姿が、少しずつ変節していく可能性が高い、という意見である。なるほど。
業界構造が大きく変わって行くことによって、消費者の利便性は高まる。そして、そこには新たな事業機会が生まれる。
上記の意見のように、生命保険業界は代わって行くことができるのだろうか。これからは業界の内部者として、興味深くその【変節】変化を見て、生きて行きたい。
皆さん、いろいろコメントありがとうございます。
> Hiroshiさん、
ご本人からの追加コメント。大変示唆にとみます。
> 高木さん、
「熱い時代」、いい表現ですねぇ。
> 言葉さん、satoさん、
ご指摘ありがとうございます!急いで書いていて、気がつかなかったです+お恥ずかしながら、知らなかったです。
投稿情報: Daisuke | 2007年10 月 3日 (水) 13:37
窓半×→窓販○
投稿情報: sato | 2007年10 月 3日 (水) 12:48
まったく批判コメントではないのですが、私には何となくネットで生保を購入するという実感がわきません。私の感覚が古いからだと思いますが、、、株、投信、EXなどの商品には取引にスピードが必要なのでネットは非常に便利です。一方、商品の購入もネットで購入すると商品を郵送してくれたり、商品の内容が分かっているので店に行く手間が省けて便利です。
一方、生命保険だと、ネットによる利点はどのようなものなのかなと思ってしまいます。私など、無知ゆえに一度加入したものがあり、面倒なので再度保険を変えたりするとは思えないのです。
しかし、上記のような外資の中枢の方が予想されているから安泰なのですよね。初歩的な疑問ですいません。
投稿情報: さくら | 2007年10 月 3日 (水) 00:30
すみません、揚げ足取りをする意図は全くなく、岩瀬さんのポジションを考えたとき、今後のことを考え指摘させて頂きます。
「変節」とは、(基本的にネガティブな意味合いで)、誰かが主義・主張を変えることを意味します。ですので、この場合、対象が人の考えでなく(保険業界自体の変化)、しかも、悪い方向への変化ではない(ですよね?)ので、「変節」というのは、特に、年配の企業経営者と話す時に使うと違和感を感じる方が多いと思います。
念のため辞書の定義:
【変節】
守ってきた節義を変えること。それまでの自分の信念・主義・主張などを変えること。
http://dictionary.goo.ne.jp/search.php?MT=%CA%D1%C0%E1&kind=jn&mode=0&kwassist=0
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例えば、それまではAという政策を打ち出していたのに、それでは公認がもらえないことがわかり、土壇場でBという立場に寝返った人などを批判する際に、「あいつは変節漢だ」などというような使い方をします。今回の文脈では、シンプルに「変化」、ややカッコつけるなら「変容」という程度の言葉が良いかと思われます。大組織の経営者になればなるほど、教養の高い人が増えますのでご参考まで。
投稿情報: 言葉 | 2007年10 月 2日 (火) 22:56
以前、マネックス松本社長も「3年後、今皆様が頭に思い浮かべる金融機関は変わっている」云々ということを仰ってました。保険業界もマルチチャネル化の進行とともに激変すると思いますが、広く見て金融業界全体が激変するのは間違いなさそうですね。
業界の末端で働いている身でも、”熱い時代”に現役でいられるのは幸せなことかも。
投稿情報: 高木 | 2007年10 月 2日 (火) 22:39
その他にも金融業界を取り巻く環境は、嵐を予感させる様々な要因が見受けられますね。
イベントドリブンが多いのですが、思いつくままに、
①昨今の金融行政も追い風だと思いますね。自助努力の枠組み作りに向けて、一連の法改正が山場を迎えていますし。
②望もうと望まなかろうと、本格的なサービスの品質競争も始まりますね。一足先に消費者を見始めた銀行などは、既に一部で高品質なサービス提供が始まっていますね。
③資本の積み増し競争も始まりましたね。
④来年にはSMのリスク係数の厳格化が待ち受けています。
⑤負債の時価評価も待ったなしですね。
⑥公的保障制度の改革ならぬ大修正も待ったなしです。
⑦流通を中心とした大手参入が目立ち始めましたね。他業種参入はこれまでの歴史や慣習に左右されず、当初から消費者のライフサイクル全体を俯瞰できる強みもあります。
⑧代理店の統廃合も益々加速気味です。
銀行窓販や郵政民営化も、ゆくゆくは製版分離を加速させるのでしょうか。
とまぁ、思いつくままに並べてみましたが、これら一つが顕在化しただけでも10年に一度有るか無いかと大きな転換期であるのに、これらが雪崩の如く市場に見え隠れしている現状を見ると、明らかに大きく変わる瞬間なのではないでしょうか。
投稿情報: Hiroshi | 2007年10 月 2日 (火) 22:14