今日も元気に6時半に自転車で出社。途中、新宿御苑で24時間営業をしているフレッシュネスバーガーを発見したのが、今日の収穫か。午後、重い物を乗せて走ってたら、ブレーキを壊しちゃった。困ったなぁと思っていたら、ご近所の新宿大京町に出張自転車修理サービスがあるとのこと。感激!夕方に来てもらって、直してもらいました。
夜は、元日銀幹部の方と会食。順不同で興味深い話題を:
- 「忙しいから新規事業に着手できない」という企業の言い訳をたまに聞くが、忙しいときほど目の前の業務をルーティンでこなすべきであり、忙しいときほど、経営者はより遠く将来を見て意思決定するべきではないか
- これだけ変化のスピードが早くなった世の中では、新規事業なんてどうなるか分からない。大事なのは、大きなスジを見誤らないことと、変化に柔軟に適合していくことだ
- サルコジの仏大統領当選は世界中に「あのフランスですら規制緩和だ」という波を作り、我々ベンチャーにとっても追い風になるはずだ
- 竹中平蔵氏がゼロ金利を主張し続けているのは、これにより地価を上昇させ、(国内最大の不動産会社でもある)郵政の民営化をスムーズに行かせるためだ(戦後、一番いい土地は郵便局が持って行き、その次が電電公社だったとのこと。NTTの不動産収益はすごい) へぇぇ
- 石原都知事が勝った理由は「石原らしさ」を捨て、争点を曖昧にしたことだ。沖縄の参院補選もしかり へぇぇ
そして、もっとも議論が白熱したのが、現在の「金融資本主義」とも言うべきシステムの隆盛。冷戦後の「平和の配当」の恩恵にもっとも預かったのが金融であり、実体経済とは乖離した資産膨張を続けてきた。そして、日米欧の中央銀行が強調して過剰流動性を供給し続ける限り、今の金融偏重の資本主義システムは危うさを孕みつつも持続される。これはもはやモルヒネのように、打ち続けるというオプションしかない。かつては中央銀行にも金本位制という縛り、そしてその後は「物価の安定」=インフレの脅威という規律が働いていたが、グローバルの供給能力が過大であり、インフレの恐れが少なくなった今では、流動性の供給に対して歯止めをかけるものはなくなってしまった。これは、本当にいつまでも続くのだろうか?
紹介するタイミングをずっと待っていたのだが、最近読んだ本でもっとも感銘を受けたのは、「世界を壊す金融資本主義」(ジャン・ペイルルヴァッド著、NTT出版)。ずっと感じ続けていた、現状の米国型資本主義に孕む危うさを構造的に分析し、再び市場主義から政治によるゆり戻しを主張している。本書で述べられている、現状のシステムが持続可能でないことの理由の一つに掲げられているのが、米国社会の高齢化。すなわち、過去数10年の米国株式市場の(実体経済と乖離した)成長を支えてきたのは個人マネーの年金基金への流入と、それによって機関投資家が株式のnet buyer(買い越し)であったことがあるが、これが高齢化によりマネーの流れが反転すると、機関投資家が株式のnet seller(売り越し)になり、株式市場はこれまでのように成長はし続けられない、というもの。
「おごれるものは久しからず」は普遍の真理であり、現在の金融資本主義もいつか、壁に当たるはずだ。そのような大きな流れを見据えた上で、金融市場の今後の発展を考えなければならない。本題はこんな話ではなかったのだが、久しぶりに知的刺激を受ける議論をすることができて大満足。
前略。私は『世界を壊す金融資本主義』を翻訳した者です。
私は金融関係者ではないのですが、なんとしても、この本を日本に紹介したいと思い、歯を食いしばって翻訳しました!
専門家の方からの共感を得られ、訳者冥利に尽きます。
最後になりましたが、御社のご発展を心よりお祈り申し上げます。
林 昌宏
投稿情報: 林昌宏 | 2007年5 月14日 (月) 09:37
>「おごれるものは久しからず」は普遍の真理
いま日本は米国べったりです。私が生きている間は変化がないでしょうが、米国も崩壊するという人がいます。
「帝国以後 アメリカ・システムの崩壊」
石崎晴己 訳 藤原書店
著者は、フランスのエマニュエルトッド氏でソ連の崩壊を最初に予測した人口学者でだそうです。
また田中宇氏のブログをみていると米国の軍隊の頽廃ブリ等は想像以上です。ローマ帝国のように崩壊するのかな?とも思います。
現実に起こりそうな話です。あー怖!!
投稿情報: tomegane | 2007年5 月 9日 (水) 09:47
こんにちは。
>「おごれるものは久しからず」は普遍の真理
私もつくづくそう思いまして、平家物語がアメリカで評価されるようになる日を夢想したりしていますが、ローカルな地域経済システムの破綻でなく、資本主義というシステム「そのもの」あるいは「全体」の破綻を主張しているものについては相当に注意して読まなくてはいけないだろうと思っています。ですので例えば高齢化がさほど進んでいない中国やインドの貢献などで何とかなってしまうんではないかという気がします。
極端なところでは原始共産制に帰れなんていう主張をはじめご存知「20世紀最大の実験」に至るまでアンチ資本主義の言説については枚挙に暇がありませんが、どれひとつ資本主義を止められなかったばかりかその行く末を予想することすらできなかった。どの予言とも違う形で、関わるあらゆる人々を辟易させながら、今この瞬間も生々しく動き続けている。資本主義が終わりだ、と断言したときに終わるのは、いつも資本主義でなく自分の方なのですね。
私は量子力学の不確定性原理のアナロジーをしばしば想起するのですが、資本主義の総体など、人間が客観的に記述あるいは分析しうるほどわかりやすい代物かどうかも怪しいと思っていますが、ニヒリズムでいうのではなく、「わかるかも」と「わからないかも」の「間」に立ち続けざるを得ないと。
投稿情報: bun | 2007年5 月 9日 (水) 08:37
新宿御苑は 礼華、呉さんの厨房、 萬盛園・・美味しい中華が多いですね。
投稿情報: mari | 2007年5 月 9日 (水) 04:48