空が晴れ渡り、さわやかな月曜日。日経ビジネスオンラインに第五回目の連載記事、「『究極のインサイダー取引』を阻止せよ」が掲載された。
経営陣主導の非公開化(MBO)において経営陣は「株主のためにできるだけ高く売るべき」と「できるだけ安く買いたい」という利益相反の問題に直面する。それは、「第三者による株価算定の意見書を取りました」という生ぬるいもので到底解決できるものではない。このような意見書はあくまでも経営陣が提出する事業計画をベースに算定されているし、そもそもにおいて価値評価は(一度でも計算したことがある人なら分かると思うが)前提条件の置き方次第でいかようにも変わるのであるから。
とすれば、既存株主の利益を守るためには、価格について徹底したディスクロージャーと、取締役がデュー・プロセスを経て意思決定をしたか否かについて株主代表訴訟のリスクを負わせること、ひいては「他の買主がいくらでビッドしてくるか」という市場競争にさらすしかないと考えるべき。そんなことを伝えたくて、最近の米国の事例をひっぱってきて論じてみました。
なかには、「MBO価格が気に入らなかったら、売却しなければいいだけのこと」という反論もあるのだが、これは同じ公開情報だけで売買をする株主間であればまだしも、圧倒的な情報量を持つ経営陣とのやり取りである場合には成り立たない。もちろん、価格評価に重大な影響を与える事実については一般に公開されているのが建前なのだが、そこには当てはまらない日常の事業に関する小さなニュアンスの積み重ねが、結局のところ会社の価値というものを形成するのだと思う。したがって、そこでは両者が売主・買主として対等な立場であることはありえず、何らかの修正が必要となる。
ところで、この日経ビジネスオンラインの「人気記事」となっているのは、必ずしも多くの読者が賛同・共感したものであると限らない。反対意見・つっこみがたくさん出るのだが、結果としてとにかく記事がコメントなどで盛り上がる、というものがある。編集者からすれば、あまりに質が低い内容の記事は困るのだが、ある程度のツッコミを入れてもらえるような記事であることも、重要な評価要素であるとのこと。
先日、ある著名なクリエイティブディレクターの方に似たような話を聞いた。今の時代、口コミで話題をつかむためには、「人にツッコミを入れてもらえる能力」、すなわち「つっこまびりてぃ」が重要である、とのこと。反論の余地がないような完璧なものに人は惹かれない。ちょっとしたことでもいいから一言言いたくなる、そんなものを準備することで、多くの人を巻き込むことができる、というのだ。
そんなわけで、なかなか容易ではないのですが、今後は「ツッコミ」を頂けるような会社・商品サービス・経営陣のキャラ作りを目指したいものだ。と、書いてみたが、実際そんなことできるのかなぁ?
いわゆるボケどころが肝心ですな。ファッションも行動もちょっとボケがあったほうがいいね。
投稿情報: 六本木あらいのHG | 2007年2 月20日 (火) 07:21