1. 先日のエントリーで書いた通り、一発狙いの投資家はさておき、銀行からみた信用力は残念ながら高くないワタクシ。住宅ローンは変動金利でしか借りれなかったので、利上げはそのまま毎月の出費増としてフトコロに直撃。利上げはマクロで大賛成ですが、今回ばかりはミクロで抵抗勢力と化す。
2. 小学校時代にイギリスに住んでいたのだが、その頃銀行口座を開いてもらった。残高1万円もあったかどうか分からない。キャッシュカードは渡されず、小切手通帳のみ。入金にも出金にも、毎回金額を書いて署名をさせられたので、子供的には一人前になった気分。
そこでは、きちんと利子がついていた。何もしないでもお金が増えていくことに、なんだかありがたみを感じたものだ。いまグーグルしてみたら、1980年代半ばの英国では、金利は10%近くだったみたい。そりゃ、ありがたいは。
3. 僕たちはP/L(損益計算書)の見方は学んだけど、きちんとB/S(貸借対照表)も読めるようになっていない。この隙間を付いた裁定取引を行っているのが、スティールパートナーズなどのファンドか。時価会計ベースでの資産価値をきちんと定量化し、株価とのギャップが大きい銘柄を保有する。資本構成や資本効率を意識するのも大切だ
思うに、これからの世の中では、ビジネスパーソン一人一人が「ファイナンス力」を高めていかなければならないと思う。先日のカンファレンスで聞かれて答えたのだが、「上場企業の経営者は英語よりもファイナンスを学べ。世界中の投資家を前にしたとき、前者は通訳をつければ補えるが、後者は補えないから」。
そして、そのファイナンス力の基礎をなすのが、「お金の時間価値」と「リスク」。前者については、まずは金利が正常化し、我々自身がお金の時間的価値(それはお金のコストでもある)に対してセンシティビティを上げる必要がある。その第一歩として、「預金に金利収入がきちんとつく」という感覚を再び持つことは不可欠である。
景気回復の中でも企業収益の改善が家計に回らず、消費が弱含みであることが指摘されており、その意味で家計に利息収入が増えることは間違いなく大切なことである。ただ、それに加えて、金利をもらって「おカネのコスト」に敏感になることでファイナンス力を高めるという意味で、金利が正常化することは重要であるとも思ったりした。
4. Have a happy weekend!
いつも楽しく拝見させてもらっております。
ファイナンスリテラシーの話がありましたが、確かに仰るとおりだと、私も思います。
ただ、ファイナンスリテラシー=コーポレートファイナンスが理解できる、ということでなく、それだけではリテラシーがあるとは言いがたいのではないかと考えています。
ファイナンスは、言うなれば不確実性(此れが正に「リスク」ですが)をどう捉え、モデルとするかということを考え、そういった状況下での価値評価(Pricing)を研究する学問だと理解していますが、不確実性をどう料理していったらよいのかということは、正にノーフリーランチ理論から言えば、それこそが収益の源泉であり、企業経営というレベルで考えると、重要な意思決定ということにも繋がるためにファイナンスリテラシーが重要であるということなのではないかと思います。ただ、ファイナンスというものが全てに万能であるという誤解が生じるとこれは厄介かなぁとおもったりもしますが、単なるモデルでしかなく、そこにどういった前提があるのかということとパッケージで整理をすること、そういった認識が共有されることが重要なのだと思います。とかく、日本ではモデルがあればそれは万能で、絶対に間違えないというイリュージョンをもってしまう人がいますし・・・
投稿情報: M-Ken | 2007年2 月28日 (水) 12:29
いつも楽しく読んでます。
けど、今回の利上げはどうなんだろう??
確かに0.5%程度への上げは設備投資に影響を及ぼさないかもしれないし、家計に利子所得が増える分消費は伸びるかもしれない。
しかし、一般に利上げの効果が現れるのは半年~1年先と言われてるよね?(だからフォワードルッキングとか言ってるんだろうけど・・・。)上限金利規制によりリテールの信用収縮が起こりつつあり、先行き指標が相当悪くなっている現状でほんとに利上げしていいものか・・・。
まさに岩瀬の言うような理由(と家計の外貨投資およびこれに乗っかったキャリトレに基づく円安を止めるため?)で金利を正常化したい気持ちが強いから日銀は利上げしたんだと思うけど僕は結構懐疑的です。
もう1~2回ぽんぽんと利上げして景気後退が鮮明になって責任を問われて利下げに追い込まれる・・・。なんてシナリオがありそうな気がします。
投稿情報: たに かず | 2007年2 月24日 (土) 13:23
日本人のフィナンシャルリテラシーを高めていく必要があることには賛成です。
ただ、金利が上がることでそれが達成されるとは思わないなぁ。だって、80年代から90年代初頭くらいまで結構な金利がついていたわけじゃないですか。その後、金利が下がって、日本人がお金の「時間価値」を痛感したかといえば、全然そんなことはないわけで。。。
それよりも、今の金利がつかない中で、きちんとフィナンシャルリテラシーを高めきちんと運用した人と知的怠惰な人で大きな差が生まれるというような状況の方が、フィナンシャルリテラシーを高めようというドライブが働くのじゃないかしらと思うのですが。
とはいえ、何も教えず全て自己責任ですよ、ではあまりなので、小中学生からフィナンシャルリテラシーを学ぶようにしたいですよねー。
例えば、算数・数学で貯金を複利で10年間運用すると・・・を学んだり、調達と運用では実は調達(WACC)の方が重要ですよなんかを実際の数字で学ぶなんてどうでしょ?
投稿情報: ちゃま☆STYLE | 2007年2 月23日 (金) 21:36
昔、アメリカから日本に派遣されていた外人と一緒に働いたことがあって、彼に学生時代の専攻を聞いたらコーポレートファイナンスと答えて驚いのを覚えている。向こうの大学ではファイナンス学部なんていうのが普通にあるのですね。こんな所でも「ファイナンス力」の差がついてしまうのでしょうね。日本に「金融学部」のある大学ってあるのかな?
投稿情報: kt | 2007年2 月23日 (金) 15:15