日経ビジネスオンラインの連載、最新記事が掲載されました:
超一流誌である Foreign Affairs の最新号に "Hands Off Hedge Funds" として、ヘッジファンドへの必要以上の懸念と規制をけん制する論文が掲載されていたことに刺激され、以下の点について論じました:
- 昨年話題になったヘッジファンド関連の事件
- SEC登録義務を向こうとした連邦控訴裁判決、そして
- 論文で主張されている「ヘッジファンドはマクロなリスクを増幅させるのではなく吸収させる存在だ」という側面
- 結局、どんな規制が望ましいのか?
字数の関係で削ったのですが、論文の中でもう一つ、「なるほどな」と思ったのは以下の主張:
例えば、政府がシリコンバレーに対して規制強化するならば
、テクノロジー分野におけるイノベーションの芽を摘むようなことに なると、恐らく多くの人が反対するはず。それではなぜ 、資本市場において先端の金融技術を用いてイノベーションを生み出 しているヘッジファンドへの規制は、賞賛されるのだろうか。 あるいは何千人もの映画スターを夢見る役者たちが集まるハリウッド
では、競争に勝ち抜いた一握りの者が巨額の富を手にすることを 、非難する人はいない。それではなぜ、同じように壮絶な才能の競争 が行われているなかで、運と実力で勝ち抜いた者が富を手にすること が、非難されるのだろうか。
別に僕はかねてから「ファンドは素晴らしい存在だ!」と言いたいわけではなく、「思ってるよりふつーで、ポジティブな役割を持っているのよん。プラスもマイナスもよく分かった上で、上手にお付き合いしましょうね」ということを伝えたいと思っています。
もっと言えば、いまわが国はアメリカ的な資本主義システムに少しずつ移行しつつある。そして、そのなかで投資ファンドというのは、強烈な利潤動機に基づき、市場に効率的な資源配分を迫っていくという点で、資本主義的なるものを体現している存在である。ならば、ファンドに関する理解を深めることによって、この来たる米国的な資本主義のあり方について、もっとよく理解することができるのではないか、ということなのです。
僕が「資本主義システムのあり方とは?」などと論じる資格はまったくないのですが、ファンドという一つのミクロな事例を通じて、マクロの動向に光を当てることができたらいいな、と考えているわけです。
そんなわけで、今週も一週間、明るく楽しく頑張りましょう!
確かに、おっしゃる通りです。分かりにくいですね。
「何が何でも儲けてやる!」と、死に物狂いになって割安な資産を探そうとしている人が何10、何100万人といると、だんだんと資産の価値評価げ適正化されていき、その結果、収益性も成長性も高い「いい」資産にはお金が集まり、その逆の悪い資産からはお金が離れていく。そんなことを伝えたかったんですけど、ね。
投稿情報: Daisuke | 2007年1 月30日 (火) 22:06
映画が人々に与える娯楽、テクノロジーが人々に与える便利さと比べて、
>強烈な利潤動機に基づき、市場に効率的な資源配分を迫っていくという点で、資本主義的なるものを体現している存在である。
というのが分かり辛いから非難の的になるんでしょうね。
投稿情報: rintaromasuda | 2007年1 月28日 (日) 10:57