最近の自分の購買行動を振り返ると、「物の買い方」がネットによって大きく変わって来ていることを、痛感させられる。
例えば、帰国してすぐに買ったチャイルドシート。まずネットで調べてみたが、実物を見てみないとどうもイメージが沸かない。早速大型量販店に出かけ、店員と話をしながら各商品のメリット・デメリットを聞き、実際に子供も座らせてみる。商品の選び方を理解でき、デザイン・機能・価格のバランスがよいお気に入り商品を選んだのちに、少し考えて「また来ますー」と店員に挨拶して帰宅。
再び家の前でPCに向かい、さまざまなサイトで商品の口コミ情報を見つつ、量販店で狙いを定めた商品の最安値を探す。なんと、店舗価格よりも数割安いのが地方の業者で出ている。早速その店でネットで注文。数日後には、納得がいって選んだ商品が自宅に届いていた。こういう買われ方をされてしまうと、リアル店舗はつらいよね。
あるいは、住宅ローンなどの金融商品。比較サイトは無数にあるし、実際に審査にかかった時間などの体験談があちらこちらで掲載されているため、売り手が出す都合のいい情報だけでなく、各商品のメリット・デメリットをある程度きちんと理解した上で、商品を選べるようになっている。
極めつけはネットを通じた不動産情報。色々調べていたら、興味があるマンションの過去の取引価格や実勢賃料、更には近隣の類似物件の取引価格や賃料情報など、かつては業者しか入手できなかった情報を提供しているサービスを発見。これらを見ることによって、不動産取引の際に一般消費者も「なんとなくお手ごろそう」といった感覚的な議論ではなく、きちんとした類似事例や賃料、利回りなどから価格評価がある程度正しいかは判断することができるだろう。
(最後の例はweb 2.0的ではないが)検索エンジンの精緻化やCGM的なユーザー体験談・批評がウェブ上で無数にアクセスできるようになった結果、供給者と消費者との間に従来存在した情報の非対称性が大幅に解消され、消費者にかなりのbarganing powerが移ったように思える。大きな流れとして、google and web 2.0 has dramatically empowered us consumers ということがいえるだろう。
このような世の中の大きなトレンドがまだ波及していない分野が一つある。それが、生命保険ではないか。いまだに商品は複雑で分かりにくく、ほとんどの人は自分が何を買っているか、それが適正価格で自分は納得がいく買い物をできたという感覚を持っていない。そのようなことになっている理由は色々とあるのだが、post-Googleの世の中の大きな流れが、生命保険だけについては波及しないと考える本質的な理由はないはずだ。とすれば、もちろん挑戦は決して容易ではないのだが、かような大きなトレンドに乗って、消費者に自分で納得して買い物ができる環境や、そう思われる商品サービスを提供することには、大きな社会的意義があるのではないか。
タイトルを「ネット生保 立ち上げ日誌」にしたからには、たまには生保の話もかかなきゃ、ね。
snowbeeさん、
http://allabout.co.jp/house/kaikae/closeup/CU20050306E/index.htm
ご参照
投稿情報: Daisuke | 2007年1 月10日 (水) 23:57
はじめまして。
私などがコメントしていいものか躊躇しましたが、最近、日本の投資信託についても似たようなことを思いついて、自分のブログに書いたりしました。
一般の個人がボッタクられないような、各人の状況に合わせられるDIY型でリーズナブルなサービス対コストのものがあれば、投資初級者をはじめとして多くの人が幸せになれるかなあと思っています。
現状では、一般消費者(個人投資家)向けのユーザインタフェースが欠けているかなと思います。
http://www.lagazuoi.com/gabbiano/archives/2006/12/post_207.html
投稿情報: Gabbiano | 2007年1 月10日 (水) 22:08
楽しく拝見しています。
<極めつけはネットを通じた不動産情報。>とは? 例示いただけますか?
なお、GEマネーなどの住宅ローンは、面白いですね。
投稿情報: snowbees | 2007年1 月10日 (水) 06:58