自分が父親になってから、子供の教育がどうあるべきか、考えることが多くなった。家庭内でどのようにしつけるか、習い事は何をやらせるか、学校はお受験させるのか、などなど。先日、友人が「マッキンゼー式子供の問題解決方法」みたいな記事を雑誌で書いていたり、新聞雑誌で子供の語学やマネー教育などの話題をよく見かけるので、どうやら世間的にも今改めて注目されているようだ。
英語を教えたり、習い事をやらせたり、あるいはマネー教育するのもいいが、もっとも大切なのは、子供が自分にとって幸せだと思える人生を見つけ、実践していく手助けをしてあげることだと思う。
そのためにはまず、「幸せな人生」が一義的に定義されるものではなく、人それぞれで見つけていかなければならないものであることを、教えてあげなければならない。それは一言でいうと、何をやっているときに自分がもっともワクワクできて、楽しく時間を過ごせるかを見つけることに尽きると思う。13歳のハローワークを一緒にみましょう。もちろん、多くの人に共通するhappinessの要素として、「家族と豊かな時間を過ごせること」が大切であることくらいは教えてもいいが、それ以上に「一流企業に入ることが幸せ」とか、「親と同じ仕事に就くことが幸せ」ということを押し付けてはいけない。あるいは、自分が達成し得なかった夢やありたい姿を子供に投影するのもいけない。
次に、その何かを見つけられるよう多くの機会を作ってあげることが必要。できるだけ多くのことを見せてあげて、体験させてあげる努力をする。お金に余裕がなくとも、工夫次第で本や映像、工夫して安い旅行に行くことを助けてあげれば、いくつもの世界を見せてあげることはできるし、そのなかからゆっくり選んでいけばいいんだよ、そう教えてあげたい。
最後に、やってみたいことが見つかったら、その目標にたどり着けるために必要なものを身につけるきっかけ作りをしてあげる。親は子供のために勉強をしてあげることはできないが、楽しくワクワクしながら学ぶためのきっかけは作ることができる。
そして、彼らが本当に身につけるべきことは、突き詰めれば一つはディサプリンであり、自分の頭を使って考え続ける習慣であり、そして自分には必ずできるという自信であるように思う。
ディサプリンとは、人に対する優しさであり敬意であり、自分に対する厳しさである。周りの人たちに対して礼をもって接し、言っていることに丁寧に耳を傾け、やらなければならないことを自らに課してそれを実行していく力。
自分の頭を使って考え続ける習慣とは、常に「なぜ?」「本当?」と問い続け、物事に対してバランスよく考え、自分なりの理屈をつけて調べて結論付けをしていくこと。これによって、人生の様々な場面でよい意思決定をしていくことができるし、好奇心をもって様々なことに接していける。
自信とは、何でもいい、どんな小さなことでも上手にできることを徹底して褒めてあげることで醸成されていく。このような成功体験は、新しいことに取り組む際にかけがえのない自信になるはずだ。
これらを身につけることができたら、子供も自分らしい個性を活かした、ハッピーな人生を送るための道筋に乗ることができるように思う。子供が小さいうちは、ビッグピクチャーでこのような資質が身につくような環境を作ってあげ、多くの機会を作ってあげることこそが教育であると思う。あとのすべては枝葉だ。
これはもっと突き詰めると、我々自身がこのようにhappinessを探し求めることができているか、ということでもある。つまり、我々が子供の教育を心配するのであれば、その前に自分たち自身がどのようにhappyな人生を送っていくのか、そのためにできる努力を最大限しなければならない。
初めて書き込みします。
この内容にまったく同感です。
実は歳の離れた弟がいて、彼の将来のことをよく考えたりしています。
その中で一番思ったのは、親は子供の才能を見つけること、また、才能を開花させる環境を提供することが重要な役目だということです。
あとは、子供が自分の道を決めれば良いと思います。
今、岩瀬さんの本読んでます。
またブログも見にきますね。
では。
投稿情報: Tomohiro | 2007年5 月 7日 (月) 13:13
初めて投稿します.つい数日前に岩瀬さんのブログを知り面白く読ませてもらいました.トラックバックがうまく行かないので,コメントで試みます.
http://e-doctor.cocolog-nifty.com/blog/2006/12/post_b2a9.html
よりよい日本を作る夢の成熟を影ながら応援しています.
投稿情報: 夢見るK | 2006年12 月 5日 (火) 12:48
おっしゃる通りで、抽象的に語るのは簡単でも、具体化するのが難しいですよね。簡単な答えはなく、ただ親が日々そういうことを悩み考えながら、楽しくハッピーに生きていく、といったことしかいえなそう。私もこれから評論から実践へ移らねばなりませぬ。
投稿情報: Daisuke | 2006年9 月 3日 (日) 22:54
今まで読んだ中で、最も納得できる教育論だと思います。しかし、これをどのように具体化するかが難しいです。一番良い方法は、親が自分にディサプリンを課して、それを子供が見て学ぶ、という方法しかないように思うんですけど、なかなかうまくいきません。
どうすれば良いでしょうかねえ?
また、環境を作ってあげることを精神的・金銭的にできるのは、こういった意識をもった一部の親だけだよなあ、と社会問題としても考えてしまいます。自分の子供のことだけ精一杯で、他人のことまで目に入らないでしょうけど。
投稿情報: biaslook | 2006年8 月31日 (木) 00:04