当ブログの保険ネタに関するご意見番的存在である「通りすがりの外資生保」さんとランチ。ブログを通じていいお友達ができると、ブログ書いててよかったなぁと痛感させられる。
保障性の商品はシンプルで安い方がいいよね、ということは意見が一致したのですが、今日は資産形成の分野で「生命保険会社ならではの価値」がどこにあるかについて、お話を伺うことで理解を深めることができた。
契約者から見たとき、生命保険会社は、超長期で固定の利回りを保証してくれるのがメリット。保険会社からすると、その分のリスクを取っていることになる。例えばバブル期には、5.5%の利回りを30年約束してしまったのが失敗だった(契約者にとってはおトクだった)。
前のブログにもちょこっと書きましたが、今だったら終身・養老保険で1.5%~2.0%の利回りを20年~30年保証してくれるということで、他の貯蓄系商品と比べて魅力的、と考えることもできる。10~15年で支払いをストップして、そこまで払い込んだ分だけで保障を継続すれば、残りの期間を複利で増やすことができる。
もっとも、ここで気をつけなければならないのは、仕組みをよく理解した上で使いこなす必要があること。たとえば最初の10年くらいは解約してしまうと解約控除で損をするし、長期で低い利回りを固定してしまうと、数年後に市場金利があがって銀行預金の金利が3%台とかになったときにスイッチできずに、悔しい思いをすることもある。
本質的には、「老後の資金をどうやって準備するか」という問題に行きつく。かつては大企業に勤め続ければ、給与から自動引き去りですべてが準備され、潤沢な退職金と、国と会社からの年金に頼ることができた。
それが「自己責任」のコワイ時代になり、雇用も流動化し、企業年金も退職金もかつてのようにあてにならなくなった。他方で、資産形成のパートナーとして、銀行は現状の超低金利ではいささか心配だし、証券会社を使いこなすのも容易ではない。銀行のような安定性と、長期にわたる運用という点において、生命保険会社の独自の存在意義があるのだろう。今の金利環境下では忘れてしまいがちですが。
最後に、ブログで時折議論している、
- 若いうちは保険は必要最小限でいいが、他方であとから病気をしてしまって加入資格を失った人からすれば、若くて健康なうちにたくさん保険に入っておくべきだったとも考えられる
- 同様に、保険料は必要最小限に抑えたいが、いざ亡くなってしまった家族からすれば、保険料が高くても、保険金が高い方がよかった
とった悩ましいことを、リアルなお客様とのやり取りの中で日々、悩まれて、最終的にはお客様にトレードオフを示した上で決めてもらう、といったお話を聞き、抽象論ではなく、一人ひとりのお客様とご家族を目の前にすると、一般論や理屈だけでは解決できない世界があるのだなぁ、と改めて考えさせられた。
もちろん、これまでこの業界では、理よりも情が多くあり、いったんはロジックや全体感をもった議論をすることが大切だ、という考えには変わりありませんが。あと、やはり上位5%くらいに入るいいライフプランナーの方は、カラクリも知り尽くしているし、顧客の立場に立って考える余裕もあるので、ステキですね。ある程度家計に余裕がある方であれば、プライベートバンカー的な存在として、安くないフィーを払ってでもお付き合いするメリットはあるのだなぁ、と感じました。
いつもブログ読ませて、刺激を受けています。
私は、少短業界で働いていますので、
いろいろと勉強になることが多いです。
岩瀬さんは私にとっては憧れの存在で、いつかご縁ができればなぁとずっと思っています。
もしも差支えなければ、メールでもいただけると詳細な私のID等お話できるのですが、もしももしもよろしかったら、メールで
お話させていただきたいです。
投稿情報: ショウタンマン | 2009年5 月 3日 (日) 09:54
ご無沙汰しております。久々のコメントです。僕はとある外資生保のライフプランナーの方と縁があって10年以上前に最低利率保障型の終身保険に加入しました。
その後、結婚、出産、留学、不動産購入といったライフサイクルの節目では自宅まで来てもらって家族ぐるみでお付き合いしながら、プライベートバンカー的な視点からディスカッションしながら時には条件を見直してもらっています。
超長期で当時固定した契約やちょっとした余剰資金ができた時に子供の学資的な発想で一括支払いした比較的短期な終身も含めて、ポートフォリオの一部として抱えている今の保険には安くないフィーを勘案しても満足しています。
一方で医療保険に関しては10年前以上前に契約した会社の共済と御社ではほとんど条件が変わらなかったので、そちらを継続しています。いちコンシューマーの実例としてご参考まで。何はともあれ、今は蔭ながら応援していますよ~!
投稿情報: Kenya | 2009年4 月28日 (火) 23:58
岩瀬さん、こんばんは^^
本日はお誘いいただき、有難うございました!
とても有意義な時間となり、本当に楽しかったです。
過分なお言葉をいただき、ちょっと恥ずかしいですけども(笑)
本日のお話の中で
①現場をもっと知ろう、現場に出向こうという姿勢
②査定や顧客対応などについてアナログ感を重視しようとしている姿勢
などは、私たちの日々の活動と共通しているものが多くあり、とても共感できました。
>理よりも情が多くあり、いったんはロジックや全体感をもった議論をすることが大切だ
これは異論なくまったく同意見です。
ひとりひとりのお客様との対峙には、常に「情」や「価値感」が重要となりますが、それ以前にライフプランという全体像や保険とは何かというロジックが絶対に必要だと強く感じます。
また蓄財に関して補足させていただくと、必ずしも保険が万能だとは思っていません。ただ、専門的な知識やテクニックもなく、また精査もせずに「保険で貯蓄なんて」と一蹴してしまうのはどうかと思うのです。ライフプラン上の資金ニーズをお客様と共有した上で、銀行・証券・保険の持つ特色とお客様の考え方をマッチさせて上げられればと考えています。
ご近所ですので、また色々と情報交換や議論をさせていただければと思います。
今後ともどうぞよろしくお願いします!
追伸:
出口さん、岩瀬さんの本を頂戴し有難うございました。
投稿情報: 通りすがりの外資生保 | 2009年4 月28日 (火) 23:29