「次は本国でお祝いを」。名前の発音が同じという縁で、米大統領選の民主党オバマ候補への応援で盛り上がる福井県小浜市。5日の開票で同氏が圧勝、次期大統領就任を決めると、市内は祝福ムード一色に染まった。
祝勝会を開いた市民の有志「オバマ候補を勝手に応援する会」はこの日、来年1月の大統領就任式に“出席”する方針を表明。フラダンスチーム「おばまガールズ」がホワイトハウスの前で踊りを披露する予定という。
(日刊スポーツ.com2008年11月5日記事)
オバマ大統領の誕生については、すでにさまざまな分析がなされている。インターネットを本格的に活用したことで今までにない選挙戦を繰り広げたこと。リーマン・ショックが大きなターニングポイントとなり、金融危機への冷静かつロジカルな対応に見られた危機対応能力が評価されたこと。マケインが副大統領候補にペイリンというワイルドカードを切ったことで、一部の保守層以外が民主党支持に流れたこと。そして何より、小ブッシュ大統領のもとで世界の嫌われ者になった米国人がソウル・サーチを続けるなか、「変革」をキーワードとして人々に希望をもたらすことができたことなどである。
しかし、私はそもそもバラック・オバマという新人政治家が民主党の大統領選の候補者に選ばれたことに、米国民主主義の力強さを感じる。同氏は国政の経験は4年しかない、当選一期目の政治家である。しかも後半の2年間は大統領選に費やしてきた。彼が彗星のように登場したのは、2004年にケリー氏の応援のために民主党の全国大会で基調講演である。いまでも覚えているが、その名演説は外国人の私ですら心をつかむものだった。
彼が候補者として取りざたされた時点では、まだ経験はもちろん、コネもカネもあるわけではなかった。あったのは、「大統領選に勝てる候補者」としての要素だけ。ケニア人の父とカンザス出身の白人の母に生まれたという「アメリカンドリームを体現するわかりやすい物語」に加えて、テレビやYoutubeで流れた同氏の強烈な言論の力と知性、コミュニケーション力と社会的弱者にも共感できる姿といった、純粋なリーダーとしての魅力と潜在能力が買われたわけである。
ボストンという全米でもかなりリベラルな州に住んでみて感じたのが、米国の根強い保守主義である。ハーバードという知的な環境でも、半数はブッシュ大統領とイラク戦争を支持していた。人種差別も、いまだに根強く存在する。だから、大統領選の過程でオバマが優勢であった時点でも、どこかで「でも、結局は無理ではないか」と思っていた。
二つの戦争と未曾有の金融危機への対応と、政治的に困難な状況が続くことは間違いなく、期待が大きいだけにそれを裏切る結果になる可能性も小さくない。それでも、経験がほとんどなく、かつ社会的には少数派のグループに属する人物、そしてまだ40代という若い人物に変革を託することができるおおらかさに、米国の底力をかいまみた気がする。
民主主義を正常に機能させておけば過去において被差別マイノリティであったことは将来においてむしろ票を獲得する契機になる。
いつかはヒスパニック系の大統領が誕生する。いつかはわからないけれど。
「ヒスパニック系の大統領が誕生する」という予言は破綻しない。
投稿情報: nignigi | 2008年11 月 9日 (日) 20:24
ある小学生の日記に(正確ではないのですが)こんなことが書かれていました。
「・・・黒人のアメリカも白人のアメリカも無い、あるのはただひとつのアメリカ合衆国という国だという言葉に思わず泣きそうになりました。・・・オバマ氏にはぜひがんばってほしい。アメリカ中の期待が、オバマ氏に集められているような気がしてならないのです!」
あの演説に心打たれたのは大人だけではないですね。
投稿情報: haru | 2008年11 月 9日 (日) 09:29
いつも原稿棒読みだった、マケインのLast Speechも自然体で結構良かったですよ。
投稿情報: emu | 2008年11 月 6日 (木) 23:38
僕もオバマ氏の演説には心を動かされた一人です。
また、彼に圧倒的なカリスマ力を感じずにはいられません。
そして今回の選挙で、アメリカの民主主義の根強さを感じました。
神谷秀樹氏は著書「ニューヨーク流 たった5人の大きな会社」のなかで、アメリカの強さの本質は深く根付いた民主主義であると書かれていたことを思い出しました。
投稿情報: まー坊 | 2008年11 月 6日 (木) 18:48