先日の日経シンポジウムの模様が、今朝の日経新聞28・29面に掲載されています。そして、ネット時代ならではなのですが、全文が日経ネット上のこちらのページに掲載されています。全体のハイライトを手短に知るには紙面、実際に討論された内容を読むにはウェブページ。両者を比較することで、どのようにして生の情報が紙面向けに加工されていくか、また紙面の制約によるニュアンスの伝え方の難しさなど、分かって興味深い。
たとえば、記事に以下のような発言がある:
資本市場関連の事件を見ていると、一般の方々の常識に合う判断かも知れないが、グローバルな資本市場の参加者から見ると、極めて非常識な言い回しや結論は少なくない。そうした中、行政がリベラルな方向を出して、裁判所が少し保守的に判断していくのが現実的ではないか。
ウェブ上に記録されている発言の全文は、以下の通り:
特に資本市場関連の事件で見ていますと、そこでの判断としては一般の方々の常識に合う判断、要するに「ライブドアをとっちめろ」とか、「スティー ル・パートナーズはけしからん」といったことになっているのかもしれないのですが、グローバルな資本市場の参加者から見ると、極めて非常識ないい回しで あったり、結論になったりしていることが少なくないと思うのです。
そういったときに、だれが一定のポリシーメーキングの目的をもって、ルールの解釈なり運用に指南を与えていくかと考えますと、裁判所に もっと資本市場をグローバル化するために判断をしてくださいというのは、余り現実的ではなくて、そうだとしますと、先ほどの経産省の企業価値研究会みたい のもありますけれども、ああいった行政側がよりリベラルな方向で出して、裁判所がそれを少し保守的に判断していく、そういった構図のほうが現実的なのかな と思っています。
現状は、実際は経産省を中心として、どちらかというと保守層ですね。経団連寄りの法の解釈の運用指針とか、そういったものを出されてい るので、そこはすごく残念だと思うのですけれども、裁判所の方々に急にグローバルな資本市場の実態を勉強していただくというのも時間がかかると思いますの で、そういったところでこそ、行政が果たすべき役割というのはあるのではないかと考えております。
開催前から各方面で(たとえば、こちらの有名ブログ)、「あの顔ぶれ(注:私以外の著名な論客の方々)がそろったのはある意味すごい」との評価を頂いていたのですが、中川秀直議員、オリックス宮内会長まで招へいし、今回のシンポジウムを企画・運営し、かつ紙面にまで落とされた三宅伸吾編集委員の企画力と腕力は、アントレプレナーも脱帽。何か世の中を動かそうとするものを作るには、求められる要素はジャーナリストも事業家も同じなのだな、と思った。
パネルでの討議を受けて、「企業が積極的に社会のルール形成にかかわっていくべき」ということを痛感。すなわち、生保のような規制業種にいると、何となく当局からの指導を受け身になって待っていたり、あるいはすでにあるガイドラインなどは所与のものとして受け入れてしまうのだが、業界のあるべき姿、お客様が望んでいることを現場で一番体感しているはずなのは我々なので、今後は積極的にルール形成にも発言していかなくてはならないのだな、と考えさせられたのです。
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