プレゼンでも、交渉でも、はたまた普通のミーティングでもいい。説得力ある議論をするために、もっとも簡単にできることは、「弁護士と検察官になってみる」ことである。
法律のトレーニングを受けている人は、一つの事件・争点について、あるときは賛成の立場で熱く議論をし、あるときは反対の立場でクールに説得をする術を身につけている。
問題となる争点について、賛成する理由をたくさん書き出す。反対する理由を、同じ数だけ書きだす。両者の立場の違いを分ける本質的なものは何か、考える。ずっと考えていくと気がつくことは、表面的な事象を見ているだけでは、「賛成だ」「いや反対だ」という水かけ論にしかならないが、より本質的な事象まで掘り下げていくと、お互いの主張の依って立つ立場を理解し、それが180度対立するものではなく、多くの場合、優先する事柄の違いだったり、時間軸の違いだったり、価値観の違いであることに気がつく。それがクリアになると、問題の解決は「賛成」「反対」ではなく、第三の道があることに気がつく。
たとえば、「ネットで生保が売れるか?」という問いは、我々の開業前は、いわば神学論争に近かった。でも、やってみて気がつくことは、「売れる、売れない」の議論は意味がないこと。
本質的な議論は、「どれだけ売れるか?」「いくら販売コストをかければ、どれだけ売れるか?」「どうしたら売れるか?」というものである。
仮に相手を最終的に説得できなくとも、少なくとも相手の立場を十分に理解したうえで、深く本質的な議論をする相手であるということを分かってもらえることは、非常にプラスに働くと思う。弁護士出身で、元財務長官だったルービンも意思決定をする際には、常にイエロー・パッド(法律家が好んで使う黄色のルースリーフ)を持ち歩いて、賛成・反対意見を書き綴っていたという。
皆さんも、やってみてください!
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