固定観念にとらわれずに生命保険の本質を理解するには、欧米での生命保険事情を調べるのが有益である。米国の人気マネーサイト "Smart Money" にて、「終身保険」に関する以下の記述があった。興味深かったので、以下、抜抜粋して要約する(元の記事のリンクはこちら)。保険会社の人が書いているわけではないので、自社の商品を進めるために一定の見方を示す、いわゆる「ポジション・トーク」ではない。
「定期保険か、終身保険か?」
ほとんどの人にとって、もっとも適した生命保険は、一言で言い表せる:"定期"。その理由を説明する前に、これらの保険の違いを理解することが重要だ。
定期保険と終身保険の違いは以下の通り。定期保険は死亡保障しか提供しない。被保険者が亡くなると、受取人に対して、契約の額面金額が支払われる。定期保険は1年から30年の期間で買うことができる。
これに対し、終身保険は、死亡保障に投資部分を合わせもっている。払い込まれた保険料の一部はキャッシュバリューとして積み立てられていき、契約者はこれを担保に貸し付けを受けることができる。
基本的な終身保険の三つのタイプは、①伝統的な終身保険、②ユニバーサル保険、③変額終身保険である。定期でも終身でも、契約期間中の保険料は一定である。
終身保険は、割高だ。あなたは純粋な保険の部分についてだけでなく、投資の部分についても保険料を払い込むことになるから。この余計に払うコストも、終身保険が投資商品として魅力的なものだったら、割に合うだろう。しかし、多くの場合、これらは魅力的な投資商品とはなっていない。保険エージェントたちは、これらの契約を「老後の貯蓄プラン」と呼びたがる。毎月の保険料のうち、一定部分を強制的に貯蓄して、老後に備えるからだ。
老後に向けた資産形成をするには、より有利な方法がいくらでもあることは、ここでは置いておこう。終身保険は、高い手数料と販売コミッションを伴う。これらはときには、毎年の利回りから3%も引き去ることになる。これに加えて、これらの保険にはアップフロントでの(しかし隠された)販売コミッション、典型的には1年目の保険料の100%だが、これが差し引かれている。さらに困ったことに、投資の利回りがいくらかを知ることはできず、支払った保険料のうちどれだけが保険に行って、どれだけが投資に振り分けられているのかが、不明である。
定期保険の保険料は、50歳までで健康な人にとっては、圧倒的に安い。その年を超えると、保険料は急激に高くなりはじめる。これは終身保険についてもあてはまるが、60代になってなお保障が必要な人にとっては、終身保険しか選択肢がないかも知れない。ほとんどの会社は、65歳を超えた人には、定期保険は売っていない。
(中略)
とはいえ、終身保険がすべての人にとって不利な商品、というわけではない。富裕層は、相続対策として「保険信託」を作り、保険金から直接、相続税を支払うことができる。また、40代後半や50代の人で家族ができたばかりの人にとっては、終身保険も、一度は見てみる価値があるだろう。
(以下、略)
以上は、私の個人的な意見ではなく、あくまでも米国の有力なマネー誌で示された見解ですが、まだまだ終身保険がメジャーなわが国(アメリカでも、ユニバーサルや変額などの終身保険はまだまだメジャーなようです)において、また違う見方をするものとしては参考になるなと思ったので、ご紹介します。
月曜の朝一番から、ヘビーな生保ネタで、失礼しました!
岩瀬さん
はじめまして。
おっしゃるように保険に限らず金融商品については本質を理解して購入することが大切ですよね。
そのようなことが十分にできる金融機関はまだそれほど多くないと思います。岩瀬さんの保険会社がそのような役割を果たしてくれることを期待しています。
投稿情報: 普通のサラリーマン | 2008年4 月30日 (水) 15:58
およ??
ちゃんと書いてあるじゃないですか?
そうそう、途中で見直しするからいけないんですよ。
岩瀬さんのいじわる^^;
James Hunt, actuary for the Consumer Federation of America, who has analyzed thousands of policies, notes that whole life policies hardly ever yield a reasonable return unless held for 20 years or more. So if you buy one be prepared to pay into it for the very long haul.
投稿情報: 通りすがりの外資生保 | 2008年4 月29日 (火) 01:15
こんばんは^^
日本国内のFPもよく言う目新しくない理論で、一見経済合理性があるように見えますが、この意見には大きな欠陥と矛盾があると個人的に考えています。
それから終身のメリットは決してキャッシュバリューなぞじゃなくSですね、富裕層以外でも。
>以上は、私の個人的な意見ではなく、あくまでも米国の有力なマネー誌で示された見解ですが、
岩瀬さんの個人的な意見もぜひ聞いてみたいです^^
絶対的な正解のない仕事だからこそ、企業として(ひとりの保険屋として)まっすぐにマーケットに対峙して、自らの保険観を打ち出していくことが大切な気がします。
生意気言ってすみません。
投稿情報: 通りすがりの外資生保 | 2008年4 月29日 (火) 00:15