本を読むときは常に、"so what does it mean for me?" と考えるようにしている。今でいえば、「新しい生命保険会社の立ち上げ中」という極めて限定された文脈の中で、その本からどのようなメッセージを感じ取り、自分にどのようなアクションを促すかを考えるようにしている。
最近になっては特に、なかなか純粋に知的な読書をする精神的余裕がないこともあるが、自分の世界観の変化や具体的なアクションに繋がるような示唆に富む本との出会いを、大切にするようになった。
梅田望夫氏の新著「ウェブ時代 5つの定理」は、「これまでの僕の本の中で、君がきっと一番気にいると思うよ」というコメントとともに、最終に近い草稿を著者から受け取る幸運に恵まれた。早速読み進めると、本書は著者の予告通り、今の自分のこころの琴線に触れる、インスピレーショナルな言葉が散りばめられていた。
新しい生命保険の設立という、自分の身の丈を超えた大きなスケールのアントレプレナーシップの挑戦を、何かの力で引き寄せられた40名近い仲間とともに、ウェブという技術プラットフォームを一つの競争力の源泉として挑もうとしている自分にとっては、本書は事業を成功に導くための教科書のように感じた。
それは、「自分たちこそは世界を変える」という高い志を掲げて、強烈な意志をもってストレスフルな環境を乗り切り、勝つまで最後までやり続けるというアントレプレナーシップの真髄。
「技術を通じて世界をより良い場所にする」ということはすなわち、「個のエンパワーメント」、これまで資金や組織力に恵まれた人しかできなかったことを個人ができるようにるること、であること。
一流のスポーツチームのように、多様なスキルを持った精鋭の職人たち、お互いと働けることに幸福感を感じる人たちが集まってプロフェッショナルチームを形成し、ひとつの目標を目指すことで、はじめて大きなものを創り上げることができること。
成功にはプロダクトと技術に対する徹底したこだわり、「狂信的な配慮」と「取りつかれたようなディテールへの関心」が不可欠であること。
グーグルが今の繁栄を築くに至ったには技術や運だけではなく、「世界をよりよくする」という明確な哲学と、「性善説」「完璧さへの執拗な追求」「行動志向」「自発的な行動を促す」「最高の技術者たちをエンパワーする」といった組織風土を形成し、採用する人材への徹底したこだわりによって担保していること。
世の中の変革を促すシリコンバレー的な「ネットの流儀」と、熟練したビジネスパーソンと若者のエネルギーが結びついて大きなビジネスを作っていく「大人の流儀」の本質。
含蓄あふれる数々の金言から、どれだけ自分にとってのインスピレーションと示唆を引き出すことができるか。これまでの梅田氏の著作以上に、本書の価値は、読み手の感受性と想像力によって大きく変わってくる、そんな拡がりと可能性を秘めている。
本書、読んでみました。短い中に、深い意味が込められた言葉の数々に大いに勇気付けられますね。読後の印象が残っているうちにメモしておきました。
http://takekura.exblog.jp/8219570/
大企業にあっても、アントレ魂だけは忘れたくないものです。
投稿情報: Kenya | 2008年3 月26日 (水) 00:50