1. 生命保険は「売る」ものであって、「買う」ものではない
【通説】
誰しも、死ぬことは考えたくないので、自ら生命保険への加入を積極的に考えることはしない。生命保険は、購入してすぐに体験して効用を楽しめる商品ではないし、「今すぐ買わないといけない」という切迫感もない。したがって、営業マンがその機能や必要性を説き、ニーズを掘り起こす必要がある。自ら生保を買いたいと思っているお客さまは、病気である可能性が高いため、保険会社の契約選択上は「よい顧客」でない可能性が高い。
2. 生命保険は難しいので、対面で丁寧に説明してあげないといけない
【通説】
自分で生命保険について情報を集めたいと思う人は多いが、多くの人が少し調べてみて「やっぱりわからないや」とあきらめてしまい、そこで検討がストップしてしまう。営業マンが横について、丁寧に説明をしてあげる必要がある。ネットではこれが難しい。
3. 一人一人のニーズに合った決め細やかな提案ができない
【通説】
必要な保障の内容は、その人のライフステージ、家族構成、収入・資産、リスク性向などによって大きく異なる。将来のキャッシュフローをきちんとシミュレーションしてあげて、一人一人にぴったりあった保険パッケージを提案してあげる必要がある。ネットではある程度画一的にならざるを得ないので、これが難しい。
4. お客さまとの深い、長期の信頼関係を築くことができない
【通説】
生命保険というのは数10年後の保障を、いまから積み立てていくという長期の性格を持つ。このため、加入して頂くにあたっては、お客さまと営業マン、保険会社との間の深い信頼関係を築く必要がある。非対面のネットで、このような信頼関係を作り、ブランドを構築していくことは難しい。
また、新しいネット生保を作っても、多くの人に知ってもらうためには、広く広告宣伝をしなければならない。その結果、事業費が高くついてしまい、結局保険料が割高になってしまう(これはネットというより新設会社特有の問題ですが)
5. 「最後のひと押し」がない
【通説】
前述の通り、生命保険は「いますぐ入らなくても困らない」という特徴がある。したがって、検討はしていても、あと回し、あと回しになりがち。最後の最後で営業マンが「これでよろしいのではないですか。そろそろ、いかがですか」と、選択が正しいことを確認し、背中をひと押ししてあげることは、とても重要。ネットでは、これができない
**********
さて、本当に、ネットで生命保険は売れないのでしょうか???
端的にいえば、賢くないわけですよ。消費者は。
いうがまま、流されるがままの購入者がどんなに多いことか。
だから、その枠を飛び越えてやってくる営業マンとは売買が成立しますが、
ネットというものに自ら飛び込んでいく人がどれだけ『今は』いるのかというと、そうは多くないでしょう。
でも、これからはそうではなくなってくると思います。
その触媒にきっとこの会社はなれると思います。
塗り替える苦しみがあるからこそ、成し遂げる満足感も大きいのではないでしょうか?
投稿情報: まつだじゅにあ | 2007年12 月 6日 (木) 01:10
とても興味深いので加わらせていただきます。
> 本当に、ネットで生命保険は売れないのでしょうか???
Daisukeさんのこの問いは、2つのことを同時に問うている気がします。
①セールスマンという人格とウェブ・サービスとの販売力の比較
②従来の生保と、ネット生保とのバリューチェーン・マネジメントの相違を生かした商品設計力の違い
①に関しては、ご経験をふまえたTeruさんの御意見が説得的に感じました。
②に関しては、僕の場合、率直に言って商品が同じなら営業が来る方を選びます(スミマセン・・)。
ただ、これからの時代、人と話をするよりネットで加入する方が気がラク、という方が増えるかもしれない(すると①の議論に戻る)ですよね?そういう方の意識は、「1.生命保険は「売る」ものであって、「買う」ものではない」という通説(?)とは違うように思います。
詰まるところ、ネットが社会に更にどれだけ浸透していくか、に懸かっているのかしら、と思います。
釈迦に説法みたいで失礼しました。
ネットライフ楽しみにしています。
投稿情報: Agent X | 2007年12 月 5日 (水) 13:18
えーっと、ご批判を甘受し今後の活動に参考にさせていただきます。
でも面白いので議論に参加させてください^^;
岩瀬さんのカキコミとteruさんのコメントはとても興味深いですね。
特にteruさんの
>「タイミングのいい時に、居合わせた平均的な売り手から買うんじゃないか」という仮説です。
は、とても的を射ている気がしますし、私は全体を通した意見に関してもかなり同じ感覚を持っています。業界の方だからと思いますが・・・。
>「タイミングのいい時に、居合わせた平均的な売り手から買うんじゃないか」
それが故に過去は漢字生保の職域・地域営業がマーケットを席巻したのではないでしょうか?
一方で企業のセキュリティ強化と個人情報保護法の施行などから日系・外資・損保系のすべてを含む外交員と見込み客の安易な接触は従前よりも困難になってきているとも思え、この点において、ネット生保のビジネスチャンスがあるとも思ってます。
基本的な私の意見は「証券業界のようなドラスティックなネット化は起こらなくとも、セールスチャネルごとにマーケットのすみわけが進むだろう。」なので、ネットライフさんがどのマーケットをターゲットにしてどのようなプロモーションをしていくか興味津々です。
この業界の活性化のため、ぜひ成功して欲しいと思ってます。拙いコメしてますが、応援の意味を込め、少しでも参考になればとの思いですのでどうぞご了承くださいませm(__)m
投稿情報: 通りすがりの外資生保 | 2007年12 月 5日 (水) 11:54
最強の営業マンが必要であればいつでもお声かけてください。
一度お話を伺いたいと思っております。
その前に聳え立つ山が厳しければ厳しいほど燃え上がりますね。
投稿情報: Japanese Heros | 2007年12 月 5日 (水) 10:08
僕の基本的な考えは、
「ネットと対面営業は、入り口の部分のみ対面営業がやや有利」ということです。
お客様が保険を買う時の姿勢に関して、
①それは、お客様は、保険の中身を本気で考えたいと思っていない。
(安くしようとは思うけど、目的に合致させようという空気はあまりない)
②他に使いたい時間やお金があるから、保険は「まあこれかな」といった
だいたいの感覚で決めちゃう。
という感じを受けていました。
それで、まあいいかなと思うのは、「中身」や「営業マン」じゃなくて、タイミング
じゃないかなと思うのです。
「タイミングのいい時に、居合わせた平均的な売り手から
買うんじゃないか」という仮説です。そうすると、基本待ちのネットより、
数打っている営業マンの方が、ちょっと分があるのではないかと思うのであります。
1. 生命保険は「売る」ものであって、「買う」ものではない
【自説】
面倒だから、死ぬことや生命保険への加入を考えない。営業マンで、ニーズを掘り起こせる人は極少数で、「ついに自分も保険加入の時か」と感じて加入するのかも(なんとなく入るのかしらん、という感覚は多くの人が持っている。)
2. 生命保険は難しいので、対面で丁寧に説明してあげないといけない
【自説】
自分で生命保険について情報を集めたいと思う人は多いが、多くの人が少し調べてみて「やっぱりわからないや」とあきらめてしまい、そこで検討がストップしてしまう。←ここまで同感。営業マンが横について、丁寧に説明をしても、よくわからないかも。売れている営業に教えを請いましたが、商品の説明よりも、「愛」的話題が多く盛り込まれていました(僕は、好きなんですけど、自分だったら引くなぁと思って愛の説明できませんでした)
そんなわけで、逆に完璧に練られたわかりやすいネットの説明の方がいい。
3. 一人一人のニーズに合った決め細やかな提案ができない
【自説】
相当特殊なお客様(相続対策を本気で考えたい人とか)以外は、予算制約でプランに大して変化がつけられなっかたりします。またコミッションが高い提案をする傾向もあります。さらに超売れている営業マンに限って保険の論理的な勉強はしていない(ひがみでもあり言い訳でもあります。差がついたのは、『コレがアナタにとって最高の保険です!』って言えるスゴサと『なんでもかんでも見込み客といった姿勢で絶えず誰かにコンタクトする営業力』)。そんなわけで営業マンもかなり画一的でしたよ。買い手の立場の時も、売り手の立場の時も接した営業マンのほとんどは。
4. お客さまとの深い、長期の信頼関係を築くことができない
【自説】
あまり信頼関係とか関係ない気がします。名があるとこなら、まあつぶれないでしょって感じです。信頼関係的なものが影響を持つのは、他社への乗り換えの時かも知れません。
5. 「最後のひと押し」がない
【自説】
これはあると思います。
そんなわけで、眠い目をこすりつつ、テキトウに書いてしまいました。
僕は2年半生保の営業をしましたが、気をつけていたのは、
「自分の保険設計の思想を伝えること」です。
その思想を基準にしてもらって、お客さんの考えを聞かせてもらうようにしていました。
ネットライフ楽しみにしています。
投稿情報: teru 代筆 daisuke | 2007年12 月 5日 (水) 01:43
こんにちは。昨日、トークイベントに参加させて頂いた者です。出口社長の思いなど非常に興味深い話が聞けました。で、私は4も大きなネックではないかと思います。 私自身は損害保険の火災・新種(賠償責任保険など)の支払部門に所属していますが、一連の不払問題において、一般の顧客の反応は「ああ、やっぱりね」的なものであると感じました。言い換えれば、それだけ「胡散臭く」、信頼がなかった。
保険金請求をされる方は、基本的に社会的に不利な立場になっているケースが主です(死亡、家屋全焼、賠償請求など)。その状況を念頭においた場合、消費者側が契約時に考えるのは「この会社に万一の補償・保障を任せて大丈夫か??」となるかと予想します。
大手であれば資本のバックグラウンドがありますが、新規参入業者であり、非対面で人的信頼を築ききれない御社の場合はその部分で信頼を勝ち取れない可能性があります。死亡保障の場合はお支払いが数年先になり、しばらくは支払の安全性の証明も実績で示しにくいかと。
そうなると、やはり現在のブログように社員の露出等を増やしてカバーいくしかないのかな、とも思えます。
いずれにせよ、現在の国内保険会社は「顧客本位」といいつつ、金融庁の側を向いた対策ばかりです。ぜひとも保険の「原理・原則」を貫いた、お客様の目を見た経営・商品の実現に向け頑張って下さい!!
投稿情報: 火新損調くん | 2007年12 月 5日 (水) 01:27
初めてコメントします。消費者向けのネットマーケティングに携わっています。
昨日のイベントに参加して、且つ今日のブログを読んでの一言です。
元々ネットで生保を売るのは「結構いけるのでは」と思ってました。
しかしイベントに参加して意外に「需要の掘り起こし」のハードルが高いことに気付きました。
出口さんの話では「既存の生保ユーザーの乗換ニーズ」に対応していくのかな、と思わせるフレーズがありました。でも個人的には「社会人1年生も捕まえたいところではないか」と思ってます。そう考えると余計に「需要の掘り起こし」のハードルにぶつかりますね。
自分の経験からすると生保って「社会人ホヤホヤのときにニッセイのおばちゃんが社食に入ってきてセールスをしてなんとなく加入した」ようなもので、積極的に購入したものではなかったと思います。
片や現在のネットは検索でのpullからのスタートが主流になっていて、新社会人が積極的に生保を買いに来てくれる環境でもありません。その他の広告も媒体として力が落ちてきていて想定以上の「事業費」がかかってしまうリスクも大です。
このギャップを埋めるのは相当大変だと思います。
これは乗換ユーザーでも大差ないかもしれません。
重要なことは「ネット万能主義」に陥ってはいけないということだと思います。うちの会社でもそうですが「コールセンターの負荷を減らすのにネットで手が打てないか」とか、「既存ユーザー向けへのサービスをネットで強化できないか」とか・・・。
ネットを活用するのはいいのですが、「ネット完結」の意識が強すぎると顧客志向でなくなってしまいます。
出口さんも言っていた「セールスマンがこれまで提供していたものをなくすことはできない」わけで、ネットで代替できるものとそうでないものをはっきりと判別して適切なチャネルで提供していくことが重要なのではないかと。
ネットの技術を使った準対面的なチャネルも最近では提供されています。こういったものも検討していいかもしれません。
長々と書きましたがこの事業の成功を祈っているので是非頑張ってください。
焼酎とワインで酔っぱらってるのでこの辺で失礼します。
投稿情報: yabyab | 2007年12 月 5日 (水) 01:26
先日は貴重なお話ありがとうございました! P出版のうえたおです。
1)需要喚起
2)細かな提案
3)長期にわたる信頼関係
4)獲得コストのコントロール
以上、月曜に聞かせていただいたお話のさらに深いところを今回のエントリーで聞かせていただきました。
お渡しした本は、某カタカナ生保のトップセールスマンが書かれた本ですが、まっすぐなお人なのですが、編集しながらどこかで違和感を感じていました。
そこを埋めていただけるのがネット生保だといま考えています。
投稿情報: uetao | 2007年12 月 5日 (水) 01:21
今日の記事は面白いです。
1~5は結局1に収斂できると思いますが。
金融商品でも非効率の極みである外債の毎月分配型投資信託があれだけ営業パワーで売れる反面、ネット証券のETFがそんなに売れていませんね。
生保の場合商品が複雑なので、更に超えるべきハードルは高いと思います。
でも岩瀬ならいけると思ってるんで頑張ってください。
投稿情報: たに かず | 2007年12 月 4日 (火) 23:21