新会社のウェブサイトの細かい作りこみにしばらく夢中になっていたら、ビッグ・ピクチャーで見たユーザーの導線やお客さまから見た「トキメキ」が失われていることに、なかなか気がつかなかった。
このように、何かに夢中になりながら、どこかで冷静な視点でそんな自分を見つめることは難しい。そういえば、先日ある先輩コンサルタントに、「(能の)舞台にいる自らの姿と、それを見つめる観客の姿を、また遠くから見詰めるような視点=『離見』を世阿弥が問うていた」という話を聞いたが、このような能力なのだろう。
思うに、ビジネスの様々な場面で重要になってくるのは、このようなバランスではないだろうか。すなわち、何かに情熱をもって取り組みつつ、そんな自分を冷静に見つめる力。目先のことに没頭しながらも、同時に中長期的なことまで常に考えられる力。論理的・機能的に考えながらも、どこかで人間的・感情的な視点を忘れないこと。
コンサルタントのような第三者的な立場で評論していた頃は、上記のようなことを語っていた。しかし、いざ自分が現場に放り込まれていると、すぐに見失ってバランスを崩し、どこかに偏ってしまっている自分に気がつく。世阿弥の『離見』とまではいかないまでも、最前線で日夜闘いながらも、どこかで冷静にそんな自分を見つめ、より大きな視点から自分を導けるようになりたいものだ。まだまだ修行が必要ですけどね。
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