留学中、よくこんなことがあった。それは学長であったり、ゲストスピーカーで来校していた経営者だったりするのだが、心を動かされる話をしてくれる。興奮して、「いい話だったよねぇ~」と同級生に同意を求めると、「ああいう人は、話は上手だからね~(苦笑い)」とシニカルに返され、無邪気に感動していた自分が間違っていたかのような気持ちにさせられたものだ。
それでも、いい話を聞くたびに感動してしまう。途中から、感受性豊かにいることは悪いことではないと、自分はそういう「オトナ」な人たちのコメントは無視して、感じたままに喜び、ブログに記録するようにしてきた。
しかし、先日紹介した、新聞記者だったイギリス人の同級生が描いたHBSの生活は、もっとシニカルであり、同校で見られる一種のお祭り騒ぎのはしゃぎっぷりと、米国的資本主義が世界を席巻するという傲慢さを、繰り返し非難している。これを読んで、自分の体験について改めて考えさせられたし、より多面的に振り返ることができた。良質なシニシズムの有用性に気がついた、と言うことだろうか。
これまで、自分の著書に対して「いい話しか書いてないのがよくない」という批評を受けたり、あるいは梅田望夫氏の「ウェブ進化論」で描かれている底抜けオプティミズムに対する批判を見ると、「別にいいじゃないか、素直で楽観的でも」と思っていたのだが、ようやく、その意味するところが理解できた。
ムズカシイと思うのだが、一面では無邪気に感動できる感受性を持ちつつも、どこかで物事の多面性を見抜こうとする冷静さを持ち合わせる。その絶妙なバランスを持てるようになることが、必要なのだろう。これまでは、自分はどうも無邪気すぎるようでした。
共有知だのナレッジマネジメントだのロングテールだのと同じバズワードですよね。
youtubeやニコニコ動画もまあ2.0っちゃそうかもしれんが、で、収益あがる見込みあるのかとw
カタカナ並べてもっともらしくカタカナ弱い企業のおっさんに売り込んでコンサルさんが食い扶持にしてるだけというか、それしか収益exitがないというか。
いずれにしても1~2年で消えるんだろうけど、またコンサルさんや広告さんがおんなじようなバズワード見つけ出して商売にしてくれるんでしょうw
投稿情報: web2.0って | 2007年10 月28日 (日) 23:20
良質なシニシズムの有用性、というのは正に仰るとおりだと思います。
私自身はシニカルに物事を見てしまう傾向があるので、楽観することや素直な心の動きを見落とさないことに気をつけています。
バランスをとり続けるのって、難しいですよね。
個人的には、無邪気に感動する力のある人のほうが行動する力があるように感じています。
投稿情報: hamasho | 2007年10 月27日 (土) 13:19
梅田氏の場合は、ご自身の議論が客観的に現実を俯瞰するものにはなっていないことは百も承知で、確信犯的に、オプティミズムの重要性を説かれているのだと思います――失われた15年を経て、社会の雰囲気が悪くなり、不平や不満、愚痴といったネガティブなものばかりが幅を利かせ、すっかり身動きがとれなくなってしまった日本を救い出すために。
日本好きの外人バンカーが言っていました。「最近、日本は、ビジネスでも人間関係でも、マグロ化が激しいネ」
(※)「マグロ化」とは、人にああしろこうしろと求めたり批判ばかりしていて、自分では何一つしようとしないことを言うのだそうです。
投稿情報: 大手町 | 2007年10 月26日 (金) 06:12
こんにちは。
いつも岩瀬のブログ楽しく読んでます。
オプティミズムとシニカルなクリティシズムというのはそっくりそのままアメリカとヨーロッパの成熟国のスタンスの違いなのかな、と素直に思ってみたりします。
サブプライム問題における投資銀行の失敗や格付け会社の醜態とかもなんかいい気味とか思われてそうだし。
日本も人口構成的にも文化的にも成熟国的なのでガツガツしているように見えるアメリカや新興国の資本主義に対する視線が冷ややかなのかもね。
でも健全な楽観性は批評家的シニシズムに勝ると思っているので、お互い頑張りましょう。
僕はアメリカ経済にもネット生保にも楽観的です。(笑)
投稿情報: たに かず | 2007年10 月25日 (木) 21:53
こんにちは。いつも楽しく読んでいます。
オプティミズム/シニシズムは難しい問題ですよね。僕もオプティミズムに偏る傾向が強くあるのですが、自分でバランスを取るのは意識しても難しいと感じています。
周りの配置でバランスを取りながら、少しづつ自分を訓練するしかないのかなーと。
投稿情報: nzm | 2007年10 月25日 (木) 19:37