東京ディール協奏曲(栗山誠著、集英社)。著者(ペンネーム)とは同級生+外資系金融の繋がりで共通の友人が多かったのですが、はじめてお会いすることができたのは去年の秋ごろ。冷静でシャープな語り口のなかにも、茶目っ気と遊び心が見え隠れするチャーミングなお方。
最先端のM&A案件に実務担当者としてかかわっていた経験が、この一冊の本に凝縮して入っています。買収ファンドやMBOものはちょっとしたブームになりましたが、外資系投資銀行や弁護士の買収話にとどまらず、M&Aに走る渋谷系ベンチャーからブティック投資銀行、香港にあるヘッジファンドと金融界の「食物連鎖」で彼らの上位にいる中東マネー、ウォール街の投資銀行から東京地検、渋谷のテクノ系カフェから上野の中国パブまでと、多様で幅広いプレイヤーが登場する世界を一つに描きることができるのは、まさにこの世界の一番ディープなところにいた著者ならではだと思います。
業界外の人は知ることができないM&Aやファンドなどの現場と舞台裏がリアルに描けているとともに(サスペンス部分はもちろんフィクションでしょうが・・・)、最先端の金融の世界を分かりやすく説明している、秀逸の作品。この分野に関心がある方もそうでない人も、軽快に読み進められるエンターテインメント小説ですので、ぜひご一読を。
プロ作家の方でなく、自分と同じように実務に携わっていた人が、このようにフィクションの世界で一つの物語を構想し、上手に表現されているのをみると、自分には絶対にできないなぁ・・・と、うらやましく思っています。この手のものは、ノンフィクションの解説書などよりも、フィクションの方がずっとヴィヴィッドに、深いところまで伝えることができる。いつかいつか、10年か20年後くらいには、小説に挑戦してみたいなぁ。
最後に、装丁がかっこいい!カバーを取った後の中身がお洒落で感動しました。
ブログ拝見させていただきました。
突然のコメントとトラックバック失礼します。
『東京ディール協奏曲』のスピード感に感動して自分のブログでも紹介したいと同時にどなたかともリンクさせたいと思いました。。
本書のような小説がどんどん普及するといいですね。
あと、このサイトの記事って素敵な記事が多いですね!今後も拝見させていただきたいとおもいます。よろしくお願いします。
投稿情報: たけはし | 2008年2 月 4日 (月) 22:45
> 霧谷さん、
個性的なキャラに、魅力を感じました。栗山氏に「次作を楽しみにしています」と、お伝えください!
投稿情報: Daisuke | 2007年9 月20日 (木) 21:43
栗山氏が「気に入っていただいて、大変、恐縮です」って言ってましたよ。
投稿情報: 霧谷 | 2007年9 月16日 (日) 01:23