音楽は子どもの頃から好きだったのだが、高校時代にちょこっとだけバンドの真似事をやって、音楽の聴こえ方が変わった。それまでは、主旋律というか、メロディラインやボーカルの歌詞ばかりが聞こえてきたのだが、譜面全体を見てキーボードに打ち込む作業をしていたら、だんだんとメロディを伴奏するギター、ベースラインは刻むベース、リズムを決めるドラムの音が、それぞれ独立して、そして一つの音として融合して、聴こえるようになった。ジャズを聴いていると、ベースやドラムがよく聴こえるし、ピアノやサックスの音もその上に乗った、一つの音として聴こえてくる。そして、漫然と歌謡曲を聞いていても、歌詞を覚えられなくなった。以前は何度か聞いたら覚えていたのに、いつからか、何度聞いても覚えられなくなった。
僕は絵画は詳しくなく、美術館に行っても漫然と鑑賞するだけなのだが、その道に通じる人は、一つの絵画を見ても全体の構成から光や色の使い方、背景にある細かいオブジェ、そして絵自体が暗喩するものや、それが書かれた時代背景や当時の流行、絵画全体を貫くテーマなどを、堅苦しく考えることなく自然と感じながら、堪能しているのだろう、そんな風に思うことがある。
このように、「見え方が変わる」というのは、様々な場面で体験するものである。例えば、素人として野球を見ているとピッチャーが花形であるように思えたのだが、キャッチャーをやっていた前の上司に「キャッチャーがゲーム全体の流れを作っている」というのを聞いて、グラウンドの選手の配置すべてが、キャッチャーを核としているように見えてきた(流されすぎ?)。
あるいは違うたとえだが、消費者の立場でビジネスを眺めていると、日常生活で目に触れる部分(例えば商品のデザインだったり、マーケティング)ばかりに注目してしまうが、実際のビジネスを動かしているのはオペレーションだったり物流だったりするわけだ。生保でいえば、テレビ広告や営業マンばかりが目につくが、事業の重要な位置を占めるのは、契約を引き受け、保全し、保険金などを支払う事務であり、彼らこそが保険事業のキャッチャーであり、主役だったりするわけだ。
このように違った視点を持つことができると、我々の世界の見え方も随分と変わってくる。努力して直ちにできるようになる類のものでもないが、他の分野で経験したドラスティックな視野の変化を、ビジネスや生活のあらゆるシーンでも意識していきたいと思う。
同感です。中学からドラムやってたら、音楽がドラム中心に聞こえ始めて、そのうち自然にそれぞれの楽器毎に聞き分けてました。歌詞を聞き取るときにはボーカルに集中しないと聞こえなかったり。
話はちょっと変わりますが、ジャズってベンチャー会社みたいですよね。それぞれの分野のエキスパートが集まって、自然と良い音楽を作り出してる感じが。それに対して、オーケストラは大会社。昔作られた楽譜(オペレーション)があって、それ通りにそれぞれのパート(部署)が演奏(仕事)してるし、指揮者(経営陣)次第で音楽(業績)が良くも悪くもなるし。実際のオーケストラは全ての演奏者がエキスパートなので素晴らしい音楽になるのですが、実際の大会社の従業員全員をエキスパートにするのは大変かも。全員がエキスパートだったら指揮者もまとめるの大変そうですね。適当な文章ですみません。
投稿情報: AK | 2007年8 月 9日 (木) 09:04
営業の人、事務の人、それぞれ日常業務の中で偏った考え=視点になりがちですね。私は事務の人間ですが、営業の視点、なによりお客様の視点を常に意識して業務に取り組んでいきたいと考えています。
投稿情報: 高木 | 2007年8 月 8日 (水) 22:19
心静かに、
流されすぎず、
理念を失わず、
本流の流れを見ていると、
いろんな音ならびに
思わぬ再発見がありますね。
不思議な国
というか、
国のストラクチャー自体
稀有な国です。
投稿情報: 医療ベンチャー社長 | 2007年8 月 8日 (水) 17:33