日曜の夜は、BCGの先輩の依頼で「MBA友の会」の壮行会にて簡単なスピーチをしてきた。この夏からMBA留学される方々を中心に200名ほど集まられていて、会場は来るべき新しい生活への期待と熱気にあふれていた。
2年間を振り返って、めいっぱい留学生活の「元を取る」上で自分が上手にできたことと、これから行かれる方々が同じように目いっぱい充実した日々を送るためにやられたらよいのでは、と思うことをお話した。
この点も含めて、「MBAでは何を学べるのか」といった趣旨の質問をよく受けるのだが、答えはいたってシンプル。
"it depends" ― それは貴方しだい
ビジネススクールは義務教育とは違って、そもそも集まっている人たちがそれまでの経験、MBAに求めるものにおいて多様である。かような「オトナの学校」であるから、また学びも一方的に教科書の内容をレクチャーするのではなく、生々しいビジネスのケースを素材とした議論を行い、参加者は自身のビジネス経験に照らしながら、自分にとって一番「響く」学びを持ち帰ることとなる。
だとすると、このような学びをもっともよく活かせる人というのは、1の話を聞いて10をイメージできるような、想像力と感受性が豊かで、聞き上手で向上心が高い人なのではないのだろうか。
僕が皆さんへお伝えした「アドバイス」の一つも、とにかくアンテナをびんびんに立てて「感じる」ことと、それをどんどんメモして記録していくこと、また授業での学びをよりヴィヴィッドにするために、実際に自分が起業するつもりでビジネスモデルを想定しながら、授業に参加する、というものだった。
考えてみれば、これは何もMBA留学に限らない。日ごろからアンテナを敏感に張って、世間にあふれる情報の中から自分なりの学びを感じ取って、それを記録していく。帰国してすっかりなまけているが、後輩へのメッセージを語りながら、自分自身の日々の過ごし方にも気を引き締めなおさなければと考えさせられた。
経済学の研究に従事していますftsuchiyaと申します。いつも楽しく拝読させていただいております。
さて、学術的な話題で恐縮なのですが、最近、MBA卒業生のキャリアパスについての実証的知見を提示した研究の存在を知りましたので、情報提供の意味を込めまして、投稿させていただいている次第です。
その研究とは、現在、大統領経済諮問委員会委員長をされている、スタンフォード大学のエドワード・ラジアー教授によるもので、スタンフォード大学ビジネス・スクールの卒業生の在学時の履修登録表と、卒業後のキャリアパスのデータから、独立・開業経験のある人は、そうでない人よりも、在学時の非専門科目の履修比率が高いという結果を報告しています。
その結果から、ラジアー教授は、「ジェネラル・スキル」を持つことが、アントレプレナーになるためには重要なのではないか、という議論を展開しています。
ただし、彼自身は、明確には述べていませんが、この結果の解釈には注意が必要です。というのは、データ上で表れている「幅広い科目を履修する」という行為は、アントレプ レナーになるために必要な(データでは観察されていない)「何か」と相関しているだけの変数にすぎないだけかもしれず、もしそうだとすると、もともと、この「何か」を持ってな い人に、強制的に幅広い科目を履修させても、アントレプレナーになる確率を全く高めないということになるからです。
既にMBAをお持ちの方、今年の初夏にご卒業された方、そして、現在ご在籍の方など、これをお読みの方々が、それぞれの経験から、上述の研究結果について、何らかのお考えを想念していただけるものでしたら、嬉しく思います。
それでは、岩瀬さまのご健康とご成功をお祈りいたします。
投稿情報: ftsuchiya | 2007年6 月14日 (木) 02:49
米ビジネススクール MBAを目指していますが、将来的には行くかどうか、まだ決まっていません。
でも自分自身に何を期待するかをはっきりすれば、将来像も描けるようになるでしょう。
将来的にはどうなるかについては、やっぱりおっしゃるとおり、IT DEPENDS WHAT YOU WANT.
投稿情報: jimmycui001 | 2007年5 月30日 (水) 15:21