あるウェブベンダーの方と話していたときのこと。
「いやー、ウェブは所詮ツールに過ぎないので、それ自体が大きな差別化になるとか、過大な期待は抱かないほうがいいですよ。やはり、商品とサービスの付加価値がどれだけあるか、にかかっています」
普通であれば、ベンダーの彼が僕にウェブの可能性を売り込み、それをウェブ音痴の僕が押し返す、という構図になるのだろうが、今回は逆。ウェブで面白いことできないですかね?と問う僕に対して、この方は地に足が着いていて、商売の本質をしっかり見据えられているよう。
しかし。何か、それじゃぁ夢がないような気がするんですよねー
この新しいウェブの潮流で、ビジネスの本質が何か変わったのか?もちろん、情報収集、比較検討など購買行動は変化してきている。他方で、商売にもっとも重要な、「提供価値は何か」「ポジショニングは何か」といったものは、なんら変わることがない。
今回、我々は「ネットを主要な販売チャネルとした新しい生命保険会社」を作ろうとしているのであり、ネット上がいわば店舗になる。ここが、お客様との重要な接点。その店舗の作り方がコモディティであり、本質的に差別化するのは難しいと言い切られてしまうと、がっかりせざるを得ない。
もちろん、ウェブ上でガシガシ動画を動かしてみたり、Flashでコンテンツを作ってみても、ユーザーからすれば面倒な押し付けがましいものに終わってしまい、実際には余り使われないかも知れない。
他方で、例えば3~4年前に比べて、明らかにネットのインフラや、ウェブ上でストレスなくできることは変化してきているような気がするのです。
そんな訳で、新しいネット生保の姿を描こうとしている際には、きっちりウェブの限界を認識しつつも、どこかでは夢見る心をもって、その大きな可能性にチャレンジして行きたい。IT音痴な僕は、そんなことを漠然と想いながら、プロの方々とのディスカッションに励むのでした。
* 先日のネット生保に関する数々のコメント、本当に感謝しています!近日中にお礼とコメントを書きたいと想っております。 m(_ _)m
At last, someone comes up with the "right" aenwsr!
投稿情報: Laura | 2013年3 月10日 (日) 21:48
はじめまして。SEを生業としております。
Kenと申します。よろしくお願いします。
自分も普段のスタンスとしては、文中のベンダーさんと同じようなところにいます。
しかしながら、i-modeの登場の時のように、小さなひらめきの集約が社会のあり方を変えてしまうような力があることも事実です。日々その変化を目の当たりにできるネット世界のスピード感に期待を持って仕事をしています。
今日のCNETに↓のようなニュースリリースが出ていました。
http://v.japan.cnet.com/news/release/story/0,2000067550,00015498p,00.htm?ref=rss
リモートをキーワードに、時間と空間を超越する。
万能感を持つことは危険な気がしますが、ライフスタイルに影響を与えるという意味では、ネット世界の最もそれらしい使い方の一つといえるのでは?
長くなりましたので、この辺で。
投稿情報: Ken | 2007年2 月 2日 (金) 10:23
確かに某電気メーカー社員さんの言われる支払能力というのも経験上重要な選択のファクターとなります。
最近ではだいぶ落ち着いてきましたが、生保危機と言われた時期の影響で「なんかの時にほんと払ってくれるの?」というのは気になるところですよね。
ただ格付けメッセージは最近割とMust to haveになっているので、差別化要素にはなり難いようです。生保の場合はちょっと違うかもしれませんが、損保の場合は「日本のしっかりした会社か?」という点も重要で日本人のメンタリティーにある外資への不信感(=撤退イメージ)というのも気にする必要がありました。
投稿情報: くまさん | 2007年2 月 1日 (木) 14:02
言わずもがな、生保会社の支払い能力も重要な選択基準になろうかと思います。外資A社が日本で順調にシェアを拡大しているのも、良好な財務体質(AAA)が評価されているのだと思います。
かくいう私は、勤務先の団体保険に加入していますが、割安な保険料(国内生保の半額程度です)もさることながら、たとえば不払い等のトラブルが発生したとしても、会社が全面的にサポートしてくれるという安心感が加入の決め手でした。
ありきたりの意見ではありますが、この類のコメントが見当たらなかったので投稿致しました。同世代の1ファンとしてご成功お祈りしています。
投稿情報: 某電機メーカー社員 | 2007年1 月30日 (火) 23:08
皆さん、ご意見ありがとうございます。なかでもくまさん、ご自身の体験に基づく分析は非常に参考になりました。
ネットビジネスだから、差別化は難しいですよね。また、保険ゆえの規制というのも場合によってはクリエイティブな施策を妨げることになりかねない。
ただ、ヒントがあるとしたら、いかにしてセイホを「ふつーの」商品に近づけるか、という点にあると思います。ふつーに情報集めて、ふつーに自分にとって何が大切かを考えて比較して、ふつーに自分で決めて申し込む。
引き続き、ご意見をお待ちしております。
投稿情報: Daisuke | 2007年1 月30日 (火) 22:11
いつも興味深く拝読させていただいています。
私現在は保険業界から離れていますが、以前ネットでの自動車保険販売に携わっていましたのでその経験からコメントさせていただきます。
まずインターネットで保険販売をしていて、いい感触を感じていた点は以下の通りです。
(1)代理店などを通さずに直接保険に申し込みたいというニーズは都市部だけに限らず地方も含めて存在する。
(2)内容がわかりやすい商品であれば価格は申込へのインセンティブになる。
(3)紹介キャンペーンなどのロイヤリティの高い既存顧客ベースを使ったプロモーションは獲得コストの点でも非常に効率がいい。
(4)申込チャネルをネットだけに限定せずにアメリカのプログレスの例にあるような代理店チャネルと併用するハイブリットチャネルは有効である。
その反面難しいと感じていたことは以下の点です。
(1)価格以外に既存商品との差別化をサービス面も含めどのようにしていくか?
(2)純粋想起率の上位を狙うために継続的なメディア投下が必要であり、多大な広告費を使う競合を意識する必要があること。
(3)価格訴求をすることで申込は獲得できるが、郵送手続きなどで途中で面倒になり最終的に契約に至らない。
(4)“面白いキャンペーン”やサービスを思いついても業法の壁で現実化ができない。
以上の点から差別化を考える上での課題としては、
①サービス面でネット上での完結プロセスをどこまで導入できるか?
②業法の壁を超えて他業種が導入しているメニューを展開できるか?
③メディア投下によりブランド認知を上げ、受け皿としてはWebなどの顧客の自律的な行動を期待するチャネルだけでなく、代理店など顧客の行動を後押しするチャネルとの組み合わせも選択肢として考えられるか?
以上長々とコメントを書きましたが何らかのヒントになれば幸いです。是非成功させてください!
投稿情報: くまさん | 2007年1 月30日 (火) 14:08
ネットビジネスのメリットはコストの安さとスピードだと思います。
生保の場合、支払ってから、受け取るまでに相当長いタイムラグがある訳で、このタイムラグを保証するのは信用だと思います。
製品での差別化は、工業所有権や著作権で保護されないとすれば、信用を如何に築くかがネット生保成功の鍵のような気がします。
投稿情報: 団塊会社員 | 2007年1 月30日 (火) 12:31
限界があるのも事実ですが、webの限界を少しでも広げることにチャレンジは続けていきたいですね。
例えば、今は「web = ブラウザ」となっていますが、「じゃぁ、そのブラウザを抜け出すことができたらどうなるか?」
諸々のテクノロジのロードマップを見てると(一部リリースされてますが)それもそう遠い先のことでは無く、非常に楽しみです。
投稿情報: Kei-z | 2007年1 月30日 (火) 08:59
初めまして。生保業界2年目の24歳です。いわゆるおばちゃん相手の仕事をしながら色々考えることもあり、行き詰っていたところ知人からこのブログを教えてもらいました。
ネット証券が勢力を増す中で、ネット保険が足踏みをしていたり、大手生保が手をつけないのは何でなのでしょうか?でも現場にいる限り、コンプラ規制が厳しくなる中であり得るのか?と考えたりします。
勉強不足で申し訳ないですが、素朴な疑問です。
①ネット生保の魅力は、ズバリ「保険料の安さ」だけなのでしょうか?個人的にはもっとわくわくする何かがあるような気がします。
②海外ではもう既にネット生保は一般的な存在なのでしょうか?
まったく素人質問ですみません。
今後も生保業界で前向きに頑張っていけるようこのブログを励みにさせて頂きます!
投稿情報: 行き詰まり生保 | 2007年1 月29日 (月) 23:58