周りの人の力を上手く借りて、自分の実力以上の成果を出すことを、英語で leverage (other people's strengths) という。
BCG時代に学んだもっとも大切な力が、この leverage である。当時は新しいプロジェクトがスタートすると、すぐに全社員宛にメイルを出し、当該トピックに詳しい人や、詳しい人を紹介してもらえる人を探した。どちらかというとお節介な人が集まっていた会社だったので、即座に何人もの人から返事が来て、それによってプロジェクトの立ち上げがぐっと加速化する。
また、コンサルタントは考えることが仕事だったから一人で机や会議室でウンウン唸って考えていることが多いのだが、これも「30分以上考えて行き詰まったらすぐに誰かをつかまえて議論をふっかけろ」という定石があった。誰でもかまわない、オフィスを歩いていてちょっと余裕がありそうな人を見つける。部屋に入っていって、自分が悩んでいることをだぁーっと話す。すると、議論が帰ってきて、アイデアが膨らんだり、論点がよりクリアになったりする。
そんな仕事の進め方を見ていて、当たり前のことに気がついた。自分の力は70か80か90か、頑張っても100だ。これに対して、周りの人の力を上手に借りることができたら、アウトプットは200にも300にも500にもなる。それ以来、僕は誰よりも上手に周囲の人の力を引き出すことを心がけた。
月一回で書いている日経ビジネスオンラインの連載だが、そろそろ原稿を出す時期。昨日編集者の方に送ったのだが、それに際して知り合いのファンド関係者、また米国在住のやり手会計士の方(a.k.a. LAT37N'')に読んでコメントをもらったところ、自分では完結していた議論に新たな光が当てられ、より洞察が深い内容になった。すぐに原稿を加筆修正して、編集者に再送。そのやり取りのプロセスから、leverage の大切さを改めて思い出したのだった。
私は、米国のベンチャー企業へ転職を考えている会社員です。過日一次面接を受け、1月に社長面接の予定です。今、一次面接をしてくれた副社長とメールで将来の仕事について、やり取りする中で、leverageと言う単語が出てきました。意味が良く分からなかったのですが、お陰でよく分かりました。有難うございました。
投稿情報: 転職予定の会社員 | 2006年12 月18日 (月) 12:43