大手新聞の凄腕記者の方と食事をする機会に恵まれた。彼は30代の若さで論説委員に就任していたが、現在は経済部の記者として再び現場の最前線へ。細身のお洒落なスーツを颯爽と着こなす長身のこの方は、お会いする前に抱いていたイメージよりずっと若々しかった。
彼は約10年前に消費者に対してひどいことをやっていたとある業界(というか生保なんですが)を糾弾する論陣を張ったことで名を馳せた。業界各社は正面から反論するのではなく、共同して広告を引き上げるという(ずるい)戦法で対抗。専門家も交えた彼の動きは世論と、そして行政をも動かせ、消費者保護のための大きな流れのうねりを作った。
これぞ、「本物」のジャーナリストのあり方ではないだろうか。他紙よりも一日早くニュースをリークしてもらうことが「特ダネ」として表彰されることが多いが、一日早く報道したとて何の社会的価値があるのだろうか。この方のような気骨あるメディアの方が、自身が揮うペンの力によって世に大きな影響を及ぼしうること、そしてブログなど新しい形のメディアが使えるようになった今、我々にも等しくそのような機会が与えられていることを、改めて考えさせられた。
共感。そういうジャーナリストの方、私もお会いしてみたいです。
ジャーナリスムには、早さが勝負、ニュースは生もの、みたいスピード要素の重要性はもちろんあると思いますが、スピードを競うよりも、何を広く伝えるべきか、どう伝えれば効果的か、と物事の意味を掘り下げた記事をもっと読みたいです。
スピード報道には誤った情報だって多いですし、自分で時事事項や社会現象を分析する暇のない一般読者に、正しい情報のものとに、根拠ある分析を提示するのはジャーナリストの大きな使命ではないかと思います。
投稿情報: Junkina | 2006年11 月13日 (月) 13:48
残念ながら、今の日本では、ペンを振るう者が己の任務をわすれ、その「ペン」を「剣]として、善良な市民を殺傷したり私生活を踏みにじったりしている。
また、大マスコミが、御用記者化していて、政治家や役人の言いなりになっている。意外に、スポーツ新聞や芸能誌が、がんばってスクープしている。
「ペンは、実はマスコミの暴力の剣だった」
「正義の名の下に、そのペンという剣を振りかざし、報道の自由という名の暴力をふるっているのが、日本のマスコミだった。」
投稿情報: ダッカー | 2006年11 月12日 (日) 23:07