今朝の日経の一面。「自動車部品の旭テック、米社を1000億―1500億円で買収」。旭テックはリップルウッド時代に担当していた会社で、買収前から(自分で)「海外企業も追加買収して日本の素形材技術を世界へ持っていく」と大風呂敷を広げていたので、ようやくその第一歩が踏み出せたことは嬉しい限り。今回はどうやらリークされたようで、社内はてんやわんやの様子だったが、一面を飾るのは「他にもっと面白いニュースがない」というコントロールできない要素が大きく働くので、ラッキーと喜ぶべきだろう。株価も今日だけで20%上昇だって。
旭テックは名古屋の名門、日本碍子の子会社だったのだが、別の子会社を売って下さいとお願いに行ったときに、「こっちはいかがですか」と逆提案された。当時は財務内容は非常に悪かったため、ピンと来なかったのだが、自動車の経営プロと一緒に静岡の掛川に会社訪問をして、見方が変わった。面白そうな技術を持ってるし、人材もよさそう。これは色々できるぞと思い、日本人の上司とたった二人のチームで、心配するNY本社の人間を饒舌なプレゼンテーションで押し切って、案件を遂行したのだった。1年ちょっと社外役員も勤めていたため、社内では "that's your baby"と見られてた。
買収直後は経営改善に苦戦していたのだが、最近になってからは少しずつよくなっており、今年の前半には同業で三菱ふそうの子会社を買収。そして、今回は売上では自分らよりも3倍以上である米国の部品メーカーを買収することになった。こういう案件をやると、米系ファームであることの付加価値を生かせるよね。何はともあれ、苦戦していた我が子が本来持ってるポテンシャルを発揮することができ、イキイキとしている姿を見るようで、あの鉄臭い工場のにおいを思い出しながら、新聞を読んだのだった。
こんにちは、コメントありがとうございます。旭テックの記者会見、土曜日の日経にも載っていましたね。まだまだ大変そうですが、何も無かったところからここまで来たことを、本当に嬉しく思っています。日本でもPEが、少しずつ、着実に根付いているようです。
投稿情報: Daisuke | 2006年9 月 3日 (日) 22:50
初めて投稿します。たまにではありますが、楽しく拝見させて頂いております。私は外資系投資顧問会社で日本株のアナリストをしています。日本碍子は私の調査対象銘柄で、実は、私にとっても旭テックは思い出深い会社です。
私は、微力ながら、日本碍子の社長に旭テックの売却を進言していた者(の一人)です。当時は、社長曰く、「旭テックの業績を立て直すには、設備投資をしなくてはならない。しかし、もはやシナジーがなく、優先順位の低い素形材事業に設備投資をすべきではない。こうした手詰まり状態の下で、売却したくても、どこも買ってくれるところが無い。」という状況でした。ですので、旭テックをリップルウッドに売却出来たのは日本碍子にとって幸いでした。また、旭テックにとっても良かったと思います。事業再生ファンドやMBOファンドのような受け皿が出てきたお陰で、雇用問題がボトルネックにならずに、日本においても事業の再構築が行える環境が整備されて来た事は喜ばしいことですね。
投稿情報: 匿名課長 | 2006年9 月 2日 (土) 02:32