「社会人になったら必ず生命保険に入るもの」
という文句で、新入社員に保険料1万円くらいの生命保険を薦める方法が、好きではなかった。
そもそも生命保険(注:今回は、死亡保障のこと)は、
「自分にもしものことがあったときに経済的に困る人のために入るもの」
である。とすれば、扶養家族がいなくて、困る人がいないのであれば、保険は必要ないのではないか?そう思って、こちらのページには、「扶養家族がいなければ、死亡保障はいらない(かも知れません)」と書いてみた。
しかし、営業をはじめてもうすぐ1年が経過し、それなりにいろいろな経験をする中で、「やはり、若い独身の人も、健康なうちに保険に入っておいたほうがいい」と考えるようになった。
もっとも大きいのは、
「若い頃は元気でも、途中で病気をしてしまい、いざ結婚し、子どもが産まれるというタイミングで、生命保険に入れなかった」
という人に何人か会ったこと。
公的な保険と違って、民間の保険は、一定の健康状態をクリアしている人しか加入できないようになっている(「誰でも入れます」という保険もあるが、その分保険料が高くなっているほか、支払条件が厳しかったりする)。
いつでも入れるときには、「保険はまだいいや」と思うものであり、実際どうにかなっている人がほとんどなのだが、いざ入れるというオプションを断ち切られてしまうと、「保険に入っていない」という状態は非常に不安なものである。
したがって、ある意味、「保険に入るための保険」という意味も含めて、若いうちでも、少額でいいので、手数料が安い保険に入っておいたらいいのでは、と薦めるようになった。
また、若いころに不幸にも亡くなってしまった場合、保険金が入って子どもが戻ってくるわけではないが、残されたご両親にいくばくかのお金を残してあげる、というのも、それはそれで親孝行なのかな、と色々な話を聞いて思った。
もっとも、以上の話の大前提としては、これには「保険料が安いもの」という前提条件がつく。安心して人生を楽しむために入る生保なのに、限られたお金を生保にばかり払い過ぎてしまうのでは、本末転倒。
新社会人で1万円の保険料は懐を痛めすぎるが、たとえば1,102円(23歳・男性)で1,000万円の生命保険(10年後に保険料アップ)に入れれば、 毎月のランチ1~2回分だと割り切ることも可能では。ちなみに、この保険の「原価」(純保険料)は700円で、手数料(付加保険料)は400円。共済なみにお手頃です。
以上は保険会社のポジショントークというより、保険の世界にかかわるようになって考えたこと。結局は、下記の文章の通り、個人の価値観、人生観によるのかなと思っているので、これらを参考にしつつ、お考え頂ければと思います:
生命保険はあくまでも「いざ」というときのために備えて、幸せに暮らすための手段です。例えば旅行や美味しい食事などのように、自分の人生を彩り豊かにするために使われるお金を削ってまで、必要以上に高額の生命保険に入ってしまっては、本末転倒ではないでしょうか。
「万が一の場合」のリスクへの備えのためにいくら支払い、現実に生きていることを楽しむためにいくらのお金を使うかのバランスは、少し大げさかもしれませんが、皆さん1人1人のリスクに対する考え方や、ライフスタイルの選択次第です。
また、「いくらの保障が必要か」という考え方もありますが、「生命保険費として支払う金額はこれくらいに抑えたい」という観点から、購入する生命保険を選ぶやり方も、十分に成り立つと思います。
ライフネット生命HP しっかりと見極めたい「生命保険の必要性」
* ここで保険業界の皆さんが、「そうなんです!保険は素晴らしいもので、人生に必要なんです!」とアツク書かれると、若い皆さまに引かれてしまいますので、ご配慮宜しくお願いします。
岩瀬さん、お久しぶりです。
保険の話題なので書きこもうと思いました。予め書きますが、ケンカじゃありませんのでご容赦を。業界人同士の議論ということで^^
加入資格のところに辿りつきましたか。。。
ネットで保険を売る場合にはひとりひとりのお客様の顔が見えづらいですからあまり感じないかもしれませんが、現場でまじめに保険を売っている立場としてはこの点についていつも悩むところではあります。
加入資格の喪失をヘッジすることを考えるとできるだけ大きな保障額をできるだけ安く取るということが命題になりますが、そうなると今まで日系の大手生保がしてきたこともあながち間違えじゃないということかもですね(苦笑)
1万円で3000万円の死亡保険と総花的特約が付いていた保険に加入していた独身者(今から結婚する)が加入資格を喪失した場合と1100円でLNの1000万円に加入していた場合では前者のほうが(本人、婚約者)とも幸せだと思います。
ただ、それが何人中何人に起こるのか?
こういう議論になると思いますが、それはあくまでも売り手の都合であって、お客様にとっては0%か100%しかないわけです。そこが難しいところですね。
そうそう、「加入資格の確保」という観点なら平準定期よりも、損保系や外資系で一般的にある収入保障型の定期保険のほうが理に適っていると思います。(以前にこれを御社で出したらと書いた気がしますが、SBIアクサが先に出してしまいました。残念!)保障額が逓減していくとはいえ、現時点での保障額は安価で大きめに取りやすいと思いますので。
最後にdkcさんのブログも拝見しました。
おもしろい仮説ですね。
ただ、致命的な欠陥がひとつあると思います。家庭が負担している保険料の中には家計のPLではなくBSに反映するものが含まれているはずです。いや、含まれているというよりそれが大半じゃないでしょうか。岩瀬さんの主張はBS部分は他の金融商品で、PL部分を安くという趣旨だと思います。
投稿情報: 通りすがりの外資生保 | 2009年3 月14日 (土) 14:21
どもども。
保険会社が担っている保障を国が社会保障として組み込んでしまえば、それだけでみんな救われるんじゃないかな?と思っていたりします。
単純計算ですが、国民が保険を共済に切り替えるだけで毎年18兆円くらい節約できるのではないかと。定額給付金の予算が2兆円らしいので、その9倍の経済効果が期待できないかな?なんて考えました↓
http://dkcblog.blogspot.com/2009/03/blog-post_12.html
計算違いもあるかもですが。。。
突拍子もない意見ですんません。
投稿情報: dkc | 2009年3 月13日 (金) 09:15
年末調整の生命保険控除による毎年の源泉所得税の還付も考えると、支払う実質の保険料は更に下がりますね。
これからも頑張って下さい!
投稿情報: 阿部 | 2009年3 月12日 (木) 18:57