日経ビジネスオンラインの1周記念セミナーにて講演+パネルディスカッションに参加。ご一緒した神谷秀樹さんと、弁護士の中村直人先生のお話が面白かった。
神谷さんは、ファンドが企業のオーナーとなった場合に、いかに通常の事業会社とは異なるメンタリティと行動様式を持っているかを再整理してお話されていた。結局のところ、「安く買って高く売る」ことのみしか考えていない彼らは、企業の永続性だとか、他のステークホルダーへの配慮などは考えていない。変なイリュージョンを持つことなく、彼らのそういう実態をきちんと認識する必要がある、というお話だった。
中村先生は、新会社法の狙いについてお話された。TOBルールなどの改正は付随的なものに過ぎず、本質的には会社の意思決定をほとんどすべて株主による、株主主権への移行が今回の改正の趣旨だとのお話だった。
お二人の話を合わせると、以前にも述べた懸念がより強くなった。すなわち、金銭的リターンのみを飽くことなく追及する投資家が企業の意思決定を独占するようになると、社会が非常に不安定な状態になっていく。雇用は守られないし、中長期的な投資は行われない。バランスシートは究極まで効率化され、企業は一切の含み益やバッファーを持たず、スカスカの存在になる。所得格差は広がり、環境・社会問題への配慮も必要最低限。
仮に我々がいま進んでいる方向の行きつく先が米国型社会システムだとしたら、それは明らかに望ましくない。年間1千億円の収入を稼ぐファンドマネージャーがいる反面、3千万人が貧困に悩む社会なんて。マーケット型のシステムへの移行が進んでいるが、その先にあるものが何か、慎重に見据える必要がある(神谷さんは、現在の過剰流動性は非常に不安定であり、破たんする理由はいくつも考えられるので時間の問題とのお立場。米国企業の7割がジャンク格付けであるとのこと)。そんなことを、改めて考えさせられたセッションでした。
a
投稿情報: k | 2007年7 月26日 (木) 00:03
岩瀬さんのお顔を拝見に、また、講演を拝聴に行きました。岩瀬さんの純朴さが(失礼な表現かもしれませんが)光ったセミナーでした。お顔の印象は、、、、このブログのお写真はちょっとスマート(イケメン風に)写り過ぎかも。
投稿情報: 香月 久直 | 2007年6 月 1日 (金) 09:56