金曜日から具合が悪くて、熱と寒気と吐き気に負けて、ブログを更新しないままバタンQ。結局、週末は48時間ほとんど寝っぱなしで、ようやく元気になりました。皆様も、体調にはご注意を。
産業再生機構が「1兆円を投じたが、500億円ほどの儲けが出た」とのニュースについて。これをどう評価すべきか?お国のためになることをやって、500億円の儲けを出せたのはエライ、エライ・・・とも考えられるのですが
思うに、5年間、1兆円で500億円ということは年率1%以下。基本的には破綻した企業に対する貸付やエクイティ投資なので、かなり高いリスクを取ってきたことになる。このリスクに見合ったリターンを取っていないということは、それだけのリスクマネーを無料で供与してきたことになる。したがって、その本来リスクに見合ったリターンとの差分が、今回の「産業再生機構プロジェクト」による損失、とみなすべきではないか?
例えば、ハイリスク案件で年率10~15%くらいのリターンを期待すべきだったとするならば、5年間で約1.6/2.0倍で6,000/10,000億円の得べし利益。これと500億円の差額、5,500~9,500億円が今回のプロジェクトの「コスト」だったことになる。
もちろん、それが間違いだったというつもりはない。ただ、漠然と「500億円も儲かったんだ、よかったなぁ」と思うのではなく、金融秩序の安定化のためにかかったコストがこれだけであった、ということをきちんと理解する必要がある。
留学中に、ブラックショールズ公式の産みの親として知られるマートン教授の講義を聴講する機会に恵まれたが、彼はこのように「定量化されないリスクを定量化することの重要性」ということを唱えていた。政府が保証している負債のリスクを定量化したら、どれだけ莫大なものになることか!現代の政府はリスクマネージャーとしての機能を果たしているのだから、このように自分たちが抱えているリスクをきちんと評価し・理解しておく必要がある。政府が知っていて知らないふりをするのは問題ないが、そもそも「知らない」というのは、大きな問題があるから。
他にもIRCJについて思うのはよく訴訟を受けずに乗り切ったなと思いますね。
考えてみると、現金株式交換とか会社の事業の切り売りとか、個人株主からすると株主利益を毀損される様な事を何度もやったわけで、きっと色々と根回しがあったのであろうと想像されます。
いや、もしかしたら国に訴訟起こしてもどうせ勝てないと思われただけかもしれませんが。
投稿情報: kshim | 2007年3 月13日 (火) 13:24