週刊ダイヤモンドの12月9日号、「医療保険に気をつけろ!」は、医療保険の上手な選び方について、中立の立場から非常に詳しく分析した特集を掲載している。保険は誰もがいつかは加入を考えるものである以上、本特集は買っておいて本棚においておくことをお薦めしたい。
皆さんが知っておくべき大きなポイントは、以下の通り:
1. 我々は皆、公的な医療保険に加入しており、相当な保険料を払っている。この健康保険制度は非常によくできており(特に上限をcapする「高額療養費制度」)、入院したときに我々が自己負担する費用というのは、思ったほど高くない。(特集の冒頭であげられている例では、「胃ガンで入院して150万くらいかかると聞いていたが、20万円ですんだ」とのこと。) 民間の医療保険はあくまでも、このような強力な公的保障を補うもの、と理解すべき。保険会社の宣伝広告に、不安をあおられて過剰な保障を買ってはいけない。
2. 保険はどのような場合に支払われるか、支払われないかが厳格に契約にて定められており、思っている以上に支払われないことが多い。それは保険料とのバランスでやむをえないのだが(何でも支払うようにしたら、保険料は莫大になってしまう)。最初からその限界を理解しておこう。特に、気をつけるべきは
- 告知義務違反: あとで嫌な思いをしないように、最初に正直に全部伝えておこう
- 手術給付金: 支払われない手術も色々あるので(例えば扁桃腺)、最初に理解しておいて過剰に期待しないようにしよう
- 入院給付金: 何日から支払われるか(当日 or 4泊5日以上など)、一回の入院限度日数(60日、90日)、通算の日数などの計算方法をきちんと理解しておこう
- 一見「おトク」っぽい、「女性向け保険」や「無事故ボーナス」は、特におトクではない。前者についていえば、一般の医療保険でカバーされることが多い。後者については、最初からボーナス分を多く支払わされているだけ(それが低金利で積み立てられている)
- ガン保険も、診断結果次第では微妙に支払われない場合がある(通常の「ガン」の定義と、医療保険上支払対象となる「ガン」の定義が同じではない)
3. 商品は本当にたくさんある(記事では、約60もの商品を、9タイプにわけて比較している)。でも考えれば、我々の医療保険ニーズって本当にそんなに細かく分かれるのだろうか?こんなに複雑にする必要があるのか?サプライヤー側(保険会社)が勝手に細かく分けてるだけではないか?
個人的には、医療保険の「賢い選び方」は以下のように思う:
① 医療保障は年寄りになってからが不安なので終身にするべき
② 30年先に自分がどうなってるかなんて分からないので、今から将来の分を前倒しで支払うもの(60歳払込終わりなど)は辞めて、pay-as-you-goの終身払いにすべき
③ 特約・解約返戻金などは保険会社がマージンを抜くために入れている仕掛けなので、極力はずしてシンプルなplain vanillaの商品を選ぶべき(解約返戻金が欲しかったら、保険料の差額分を自分で貯金・運用した方がいい)
④ 自営業で所得保障が必要な人、極端に貯金がない人を除いては、日額1万円×60日で十分な保障と考えられる(あくまで基本は貯金でまかなうべき。保険は、厚い手数料を抜かれるので、効率が悪い備えだということを理解)。入院は短期化が進んでおり、平均40日強だとかどこかで読んだ気がする。
⑤ 結果まとめると、日額1万円×60日、色んな特約は一切なし、終身保障、終身払い をお薦めします
こんな感じでいかがでしょう?僕もまだ保険の勉強を始めたばかりですが、医療保険入門。
こんちは。
高校の同期のものです。
たぶん岩瀬には誰かわかるよね??
本読みました。
保険の仕事になったんだね、頑張ってください。
岩瀬がほめてくれた日本の医療だけど、たぶんマーケットに逆らい続けるのはもう限界です。
特に文中にある高額療養費制度と高齢者医療がぱんぱんです。
アメリカに比較して極めて安い価格で医療サービスを提供しているということはそういう高度な医療に従事する人が搾取されている裏返しなわけで、岩瀬の同期の医者が忙しいのは大部分これが原因です。
でも労働市場が効率化して奴隷医療従事者は減ってきています。
たぶんあと少しで格安な医療を提供してきた公立病院は崩壊して、イギリス型の医療崩壊を起こすかアメリカのように民間保険で払える人だけ高度な医療を受けられるか、といった制度にシフトしていくかと
思います。
そうなったときに民間医療保険は巨大ビジネスになるかもですが、いわゆる「イチゴ摘み」の問題が生じるでしょうね。
時間が有ったら一度話したいですね。
投稿情報: たにさん | 2006年12 月13日 (水) 00:04
始めまして、保険の企画をされるのですね。
私は、こんな保険が欲しいと思っています。
日額計算ではなく、入院費全額を補償してくれるもの。20日入院でも、140日入院でも、病気の種類でもなく、入院にかかった費用のみを補償してくれるもの。
日額で考えたいのは、差額ベッド代でしょうか。看病する方の交通費でしょうか。
幸い、入院したことがないので、細目が今ひとつピンときませんけれど、特約でそれもカバーできるとうれしいですね。
日額で考えるならば...入院1日目から...なんていうのがはやっておりますが、たとえば、入院30日目からなんていうのが欲しいです。貯金を持っている人ならば、短期の入院はなんとかしのげる。でも長くなってくれば、確実に収入が減り、支出が増える。入院1日目からもらえるのは手術代のみで、30日以上になったら、日額を大きくもらえる。そんなのあったら、うれしいな。
長期の場合、高額になる治療を受けねばならぬとき、これが心配なんです。
投稿情報: マリ | 2006年12 月 9日 (土) 23:42
家族もちの30代男性です.
特に基礎疾患がないので脳心血管障害は特に気にせず,突発的な事故・悪性腫瘍による長期入院や後遺症を抱えた場合の所得保障(子供が全員離れる55歳ぐらいまで)が一番の懸案です.この場合はどういった保険が最適なんでしょう?1ヶ月までの短期入院・医療費はは貯金でカバーしようと思っています.
p.s.医療従事者の立場で保険屋さんの診断書をよく書いていました.医学的に見ると,高血圧・糖尿病・肥満など明らかにリスクの高い患者さんも保険に入っておられます.リスクが高い人・低い人も同じ値段の保険に入れる日本(リスクの評価が甘い)のシステムの良いところ(アメリカでは保険に入れないような?弱者をうまく保護する)かと感じています.
現在のところ日本の公的医療体制は,値段に比較して非常に良いと思っています(それでも先進国で一番?低い国民満足度です).2か月までの入院に備える貯金(治療費・諸経費・生活費と含めて300万程?の出費に備える)があれば良いかと思います.脳心血管障害は,高血圧・糖尿病・高脂血症・肥満・喫煙などのリスクが全くない人には,普通は起こることはありません.30-40代までの基礎疾患のない方は,悪性腫瘍・事故による長期入院・後遺症で破産しないようにするのが一番必要なことで,そういった人々をサポートする保険を開発してしてもらえることを願っています.
投稿情報: 夢見るK | 2006年12 月 7日 (木) 08:52