友人のホウダ君は最近すっかり売れっ子となっており、テレビ出演やWeb媒体での発信のほか、著書ももう6冊を数えるとのこと。今日は久々に彼とランチしたのですが、「投資銀行青春白書」をもらったので、読みました。本屋に行ってもなかなか自分の本は見つからないのですが(奥のMBAコーナーに置かれているので)、彼のこの本はいまビジネスコーナーで目立つところに置かれているので、目にした人は多いのではないかと思います。以下、簡単にご紹介。
設定は外資系投資銀行に就職したカワイイ女の子がM&Aのアドバイザリー案件をこなすまでの道のりを、軽い読み口の小説風に書かれています。投資銀行の若手にとっての日々の生活の内情から、実際にM&Aの提案からexecutionまでが生々しく描かれており、少しでもM&Aにかかわったことがある人であれば、フムフムそうそう と頷きながら読んでしまうもの。実際に買収候補先を訪問して受けるプレゼンテーションなどは、自分がリップルウッドで働いていた頃を懐かしく思い出してしまいました。
ここで想定される主たる読者は投資銀行への就職・転職を考えている学生や若手ビジネスパーソンなのかな、と考えていたのですが、より広く企業の財務・企画担当者や、すぐにはM&Aに関係ない人も読むべきではないかと思いました。M&Aの専門書の類は色々と出ているのですが、カタイ内容だけを読んでも関係者以外にはなかなかイメージがわきにくいのが問題。本書と専門書を一冊あわせ読むことで、M&Aの実務に携わる人がどんなことを考えて、どんな風に動いているのか、そのプロセスまで含めて人間臭く分かると思います。
caveatとしては、他の方もアマゾンのレビューなどで書かれているのですが、"this is only one side of the story"といったことでしょうか。つまり、外資系投資銀行の中での生活は、かつて話題になったMonkey Businessを掲げるまでもなく、過酷を極めるものであり、特に人数も増えてよりヒエラルキーが厳しく、labor intensiveな仕事も増えた最近の投資銀行における生活と、本書で描かれているような(ホウダ君が活躍していた頃の?まだ人数がそこまで多くなく、ディールも豊富だった頃の)生活とのあいだで、どれほどのギャップがあるのか。これは、今投資銀行で働く人にしか評価できないのでしょうが。
ホウダ君は全体的な問題意識として「日本のビジネスパーソンの金融リテラシーを高める」ということを考えながら仕事に取り組んでいると思うのですが、それは僕が日経ビジネスオンラインの連載を通じて(全然スケールは小さいですが)、共感するところです。投資銀行に興味がない人でも、これからコーポレートファイナンスやM&Aを理解する第一歩として、非常に読みやすい本書を手元においてみることをお薦めします。
岩瀬大輔様
初めて御連絡をいれさせていただきます。私は、祥伝社 書籍出版部の山口と申します。
日経新聞で、岩瀬さんのような方がいらっしゃることを初めて知りました。
もしできましたら、急ぎ、お仕事のご相談をさせていただくことができたらと思いまして、ご連絡先をお教えいただくことができましたら、とてもありがたく存じます。
よろしくお願い申し上げます。
投稿情報: 祥伝社 書籍出版部 山口洋子 | 2006年11 月28日 (火) 19:27