金融庁付きの新聞記者の方に勧められて、「金融システムを考える~ひとつの行政現場から」(きんざい、大森泰人著)を読んだ。とっても面白くて、離さず電車の中、お風呂の中、仕事の合間に読み進めた。
そもそも過去10年間でわが国の金融システムがどのような変遷を遂げてきたか、という基本的な「歴史」についての勉強不足、また行政がどのように制度設計をしていくかについての無知があいまって、純粋に知識と理解を深めるために非常に役に立った。
加えて、金融システムという(アウトプットだけを見ると)無味乾燥なものにも、個人の強い思いや情熱やドラマが成立までにはたくさんあること、それに内在する複雑性に関する深い深い理解、公的な立場にありながら自らの(ときには物議を醸す)意見を世に積極的に発信していくその姿勢、そして一人のプロフェッショナルとしての世界観・価値観には、とにかく感銘を受けっぱなしだった。「大森氏のような行政官がたくさんいてくれればいいな」と思った。詳しい書評を、近々書けたらいいなーと思っている。
これに比べて、北畑事務次官の「デイトレーダーはバカで浮気で無責任だ」という発言には、呆れてものが言えない。マネックス松本社長も痛烈な批判のエントリーを書かれているが、私はこの発言が金融に関する根本的な理解の欠如と経済官庁トップである自身の発言の重みに関する認識の欠如を国内外の投資家にさらした点について、why?????と思っている。
さて、明日から3連休。オフィスで工事を行うので、週末出勤ができなそう。子どもとピアノを弾いて遊びたいと思います!子供は飽きっぽいので、10分くらいしか続かなそーですが。
Have a great weekend!
最近の羽田の外資規制の話とかオープンスカイ構想の顛末とか見ると霞ヶ関や永田町や大手メディアの主流派は本心ではこの次官の発言に賛成、という人が多いように感じるんだよね。
「日本には日本のやりかたがある。市場原理主義は秩序を乱す。」というわけで。実は国民もこちらが主流派?
信用バブルの暴走で市場という言葉自体のイメージも悪くなってる感じするしね。
日本が資源国ならベネズエラやロシアみたいな路線を突っ走ってもいいんだろうけど。
このあたりの話を見てると東京はシティにはなれなさそうな気がしますね。
投稿情報: たに かず | 2008年2 月11日 (月) 22:33
確かに、「品格を欠く」と思ったのは発言の内容そのものよりも、一部の国民のグループを捉えて、「バカ」と罵倒していることに対してだったのかも。株を長期でもってもらいたいという考えも分かるのですが、もっときちんとした表現でメッセージを伝えるべきであり、その点で経済官庁トップに立つ方としては不適切と思いました。でも、メディアではあまり問題視されていないようですね。
投稿情報: Daisuke | 2008年2 月11日 (月) 09:59
個人的には品格の問題というより内容の方が問題と思います。
発言の要旨は外資規制、買収規制、持ち合い奨励という経済鎖国主義なわけだし。
もっと恐ろしいのは日本のエスタブリッシュメントのかなりの部分がこの発言に(表現はともかく)同意しているんじゃないかと思われること。
日経は売りもちかな??
投稿情報: たに かず | 2008年2 月11日 (月) 00:27